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米国が過去最高となる380億ドルの軍事支援を決めた背景とは

HARBOR BUSINESS Online 9/24(土) 9:10配信

 9月に入って米国政府はイスラエルに対してこの先10年間、380億ドル(3兆8000億円)の軍事支援を約束した。

 ネタニャフ首相は当初450億ドル(4兆5500億円)を要望していたので、それよりは少なかったものの、今回の支援額は米国がこれまで提供してきた外国への軍事支援としては最高額である。これまで10年間の軍事支援金は2018年に切れる300億ドル(3兆円)であった。この最高額の支援金を提供するのに米国はイスラエルに条件をつけた。それは次の通りである。(参照:「Alwaght.com」)。

●この支援金で購入するする全ての武器は米国製であるということ。

●この10年間、イスラエルは追加予算の獲得の為に米国でロビー活動をして議会の支援を仰ぐことをしないこと。

 2018年に切れる現行の支援金の場合は、その26%をイスラエル製の武器の購入に充てることが出来たという。しかし、2019年から10年間はそれが出来なくなるというわけだ。

 それにしても、イスラエルに次ぐ米国の軍事支援対象国であるエジプトの場合、その支援額はイスラエルの3分の1である。この差が示すように、米国にとって、やはりイスラエルは中東における要めの国だということを改めて示したといえる

◆巨額支援の理由はイランの台頭!?

 しかし、オバマ大統領とネタニャフ首相の関係は良好とは言えないのも事実だ。

 ではなぜ来年1月に退任するオバマ大統領がこれだけ巨額の支援を決めたのか。その理由は中東のパワーバランスにある。

 なにしろ、イスラエルを取り巻くシーア派の周辺諸国はイスラエルの崩壊を狙っている。特に、昨年、核協議で合意に至ったイランの中東での影響力が次第に拡大していく方向にある。イランにとって、イスラエルは中東における異物として、存在してはいけない国だと見ている。イランはこれから益々軍事力を強めて行き、イラク、シリア、レバノンを勢力圏に収める野望を持っている。レバノンのヒズボラはイランとつながりが深く、ミサイルと砲弾を10万発備えており、その攻撃の照準をイスラエルに向けているという。戦争になれば、ヒズボラは毎日1200発のミサイルをイスラエルに打ち込む用意があるとしている。(参照:「Hispan TV」 、「Hispan TV」)

 更に、パレスチナのガザ地区のハマスもイランとの関係を深めている。

 そうした背景があるため、イランの脅威をひしひしと感じているアラブ連合諸国は、すでに同盟関係を結んでいるサウジアラビアとヨルダン以外も、イスラエルとの関係強化に動いているのだ。

◆イスラエルは中東均衡の要

 イスラエルが中東情勢の均衡を保つ役目を担う方向に動いている。イスラエルが崩壊すれば、中東はイランの支配下に一挙に傾く可能性がある。

 中東情勢の今後はイランの動きが活発になり、アラブ諸国との対立がさらに顕著になって行くと予想されている。それに便乗して、ロシアと中国が中東での影響力をつけるようになる。そのような情勢がこの先展開して行くであろう。今回の巨額支援決定の背景には、そうした事情があるのだ。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/24(土) 16:40

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