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愛を求める宮崎あおいの渾身の演技に心鷲掴みにされる『怒り』 [with]

講談社 JOSEISHI.NET 9/25(日) 18:00配信

世間を騒がせた殺人事件の逃亡犯が、どうやら整形したらしい――というニュースを背景に、ふらりと現れた素性のわからない「手配写真と似た男」3人と、彼らを巡る3組の人間模様を並行して描いてゆく『怒り』。

3組を演じるのはそれぞれ、沖縄の無人島で放浪する森山未來&地元の少女・広瀬すず、千葉の漁村で働く無口な松山ケンイチ&彼と暮らし始める宮崎あおい、新宿のハッテンバで出会った悲しい目をした綾野剛&エリートビジネスマンの妻夫木聡という組み合わせで、それぞれに心の交流が描かれるのですが、「手配写真と似てる…?」と思った瞬間から信頼関係が揺らいでいき、見終わった後は「人間の信じられなさ」に、どうにもならないほどの苦しさと、ひとすじの光が見えるような作品です。心鷲掴みの力作です。

作品の大きな見どころは、もうお気づきでしょうが、恐ろしく豪華な出演者です。このほかにも世界のケン・ワタナベ、ピエール滝&三浦貴大という引っ張りだこの味系俳優、「とと姉ちゃん」こと高畑充希も大事な役でちょっとだけ出演しています。その中で、本当に、本当に、目を見張るような演技をしているのが、宮崎あおいです。

彼女が演じる愛子は、気はいいけれどどこかネジの足りない、ふわふわとつかみどころがない女の子です。愛子は田舎町の暮らしの行き場のなさに家出を繰り返していて、冒頭で娘を捜す父親(渡辺謙)が彼女を見つけたのは、新宿の風俗店。「客の求めにすべて応じてしまい、挙句の果てに“壊れてもいいおもちゃ”のように扱われていた」というズタボロな状態(もちろんノーメイク)で、へらへらっと寂しく笑います。自分には何もないから、愛されるためなら何でもする、でもそれでもなかなか愛してはもらえないなあ。そんな感じに、本当に胸がつぶれそうになります。

でも「こんな役ができるんだ……」という驚きは、実は彼女のみにとどまりません。ゲイ役を演じた妻夫木聡は、いままでどこに隠してたの!と思うような色気がどばどばでているし、大衝撃の体当たり演技を見せる広瀬すずもすごい。これは絶対に見逃しちゃいけません。大事なんで二度いいますが、心鷲掴みの作品です。

『怒り』全国東宝系にて絶賛公開中!
(C)2016映画「怒り」製作委員会



文:渥美志保

最終更新:9/25(日) 18:00

講談社 JOSEISHI.NET

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