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米名門大卒の元ヤンキー、「99%は失敗」本田宗一郎の“度胸”に学ぶ

NIKKEI STYLE 9/26(月) 7:00配信

 半世紀以上続く日本経済新聞朝刊文化面のコラム「私の履歴書」。時代を代表する著名人が半生を語る自叙伝は、若い世代にどう響くのだろう。1962年に掲載したホンダ創業者の本田宗一郎さんの「私の履歴書」を、ちょうど80歳年下にあたる「元ヤンキー」で米国の名門カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)を卒業した鈴木琢也さんに読んでもらった。
◇   ◇   ◇

【本田宗一郎 ほんだ・そういちろう】

1906年静岡県、鍛冶職人の家庭に生まれる。22年小学校高等科を卒業、自動車修理工場で見習工として働く。46年本田技術研究所設立、48年本田技研工業(ホンダ)設立、社長に就任し、一代で世界有数の自動車メーカーに育て上げた。73年に社長退任、91年に84歳で死去。

【鈴木琢也 すずき・たくや】

1986年川崎市生まれ。中学生のころ、素行が荒れ暴力を繰り返す不良少年、いわゆる「ヤンキー」の仲間入り。高卒でとび職になる。その後、IT系資格を取得して上場企業に転職。さらに一念発起し、2013年にUCバークレーへ進学。15年卒業、人材育成支援のグロービス(東京・千代田)入社。マネジメントスクールの運営などを担当。著書に「バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。」(ポプラ社)がある。

■「当事者意識を持つ」ことと「全体を見る」ことは不可分

――私の履歴書から 愚劣なことをしている経営者が多いようだ。ふだんは経営者と従業員は一心同体だなどとおだてておいて、困ってくると旧軍隊のように転進とかなんとか言ってごまかし通そうとする。私はつねづね従業員は全部経営者である、だから経営に参加する権利と義務があると言っている。生産調整をしなくてはならぬようなときにも、はっきり実情と今後の対策を明示して全社員がいっしょに困難を克服することにしている。こういう姿が真の労使一体というのではないかと思う。(本田宗一郎「私の履歴書」第17回)
 私は「全員経営」という言葉の難しさと楽しさを、グロービスに入社して初めて体感しました。
 UCバークレーにいる日本人留学生にとって当時、就職先を探すための最も一般的な方法は、毎年11月にボストンで開かれる「キャリアフォーラム」に参加することでした。私は興味があった教育関連の仕事ができそうな企業にエントリーして、最終的にグロービスに内定しました。「経験者のみ採用」と記載されていたにもかかわらず強引に応募をしましたが、「人柄に魅力を感じた」と言ってもらい、本当にうれしかったです。
 今の職場では「お互いに話し合う機会がある」ということに魅力を感じます。その根本は、それぞれが当事者意識を持ち、その上でチームに貢献する意識を持っているところにあると思います。
 私自身、チーム全体の中で自分の役割をきちんと達成する楽しさを感じています。例えば、何から何まで管理するリーダーがいたとします。「あなたのタスクはこれで、これをやりなさい」と指示をされます。社員も「タスクがここまで」と思ったら、それ以上のことをしよう、より良く改善していこうとはなかなか思えないかもしれません。
 私も高校卒業後にとび職人をやっていたときは、「限られた時間の中でどれだけ数をこなし、お金をもらえるか」ということだけに集中していました。エンドユーザーや会社にまで、視野が広がりませんでした。法的な規定は守るけれど「もっと良くするために工夫する」という発想には至りませんでした。自分の仕事が何を提供しているのか分からなかったからです。でも、全体の設計の中で「これはこういう意味がある」というのが分かると、考えが変わっていきました。「当事者意識を持つ」ことと「全体を見る」ことは不可分のことなのだと思います。
 全体の流れを知ったうえで当事者意識を持つには、民主主義的なチームが必要だと思います。それは、UCバークレーで体感したような、チームにいる人がそれぞれの得意分野を発揮できる環境です。個性を発揮しやすい空気をつくり、責任を譲渡する。うまくいかなかったときには、軌道修正の手伝いをして助け合う。
 UCバークレーの卒業式では「世界のリーダーになれ!」という激励の言葉がありました。ともに学んだ仲間たちも、それぞれの分野でリーダーになるべく、旅立っていきました。こうした誇りと自信は、本気で勉強し、切磋琢磨(せっさたくま)する環境で身につけることができます。リーダーというと、ひっぱっていくという意味合いが強いですが、実際にはチームの協力を促すファシリテーターのようなものなんだな、ということを最近では学んでいます。

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最終更新:9/26(月) 7:00

NIKKEI STYLE

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