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飼い主なら知っておきたい「ペットフード安全法」のこと<前編>

@DIME 9/26(月) 7:10配信

現在、日本で流通するペットフードは、ペットフード安全法によって定められた成分規格や製造方法に沿って販売されていることをご存知だろうか?

【製造の方法の基準】
1.有害な物質を含み、若しくは病原微生物により汚染され、又はこれらの疑いがある原材料を用いてはならない。
2.販売用ペットフードを加熱し、又は乾燥するにあっては、微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うこと。
3.プロピレングリコールは、猫用の販売用ペットフードには用いてはならない。

【表示の基準】
販売用ペットフードには、次に掲げる事項を表示しなければならない。
1.販売用ペットフードの名称(犬用又は猫用)
2.原材料名(原則的に添加物を含む全ての原材料を表示)
3.賞味期限
4.事業者の氏名又は名称及び住所
5.原産国名(最終加工工程を完了した国)

このペットフード安全法は2009年に施行されたのだが、そのきっかけとなったのが、2007年にアメリカで発生したペットフードの大規模なリコール事件だ。この事件は、ペットフードを摂取した犬と猫が大量死したという事件で、原材料に使われた小麦グルテンに含まれるメラミンやシアヌル酸が原因となり、腎障害などを引き起こしたと言われている。

しかも、このペットフードは、日本国内でも輸入販売されていたことが判明。販売業者の自主回収により被害はなかったものの、これを機に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、いわゆるペットフード安全法が制定された。

こうした国の取り組みにより安全が確保されたと思われるペットフード。しかし、一方で国が定めた成分規格などに疑問視する声もあがっている。中でも鳥取大学では、予てよりペットフードの安全に関する研究やセミナーなどを行なっており、昨年「ペットフードを考える- 微量元素の視点から-」というセミナーを開催し、新たな研究結果を発表した。

セミナーに登壇したのは、鳥取大学の准教授である寶來佐和子先生。寶來先生は、環境内を分析、解析して汚染実態などを評価する環境化学の専門家である。

寶來先生の今回の研究の目的は、主にイヌ・ネコの微量元素レベルと蓄積特性の解明、リスク評価、暴露源の探索。これらの研究は現在も進行しており、今回のセミナーでは、中間報告という形で下記の4項目を発表した。

・ペットフードの安全性評価と健康影響評価
・イヌ・ネコのフード中微量元素濃度比較
・ハウスダストとフード中微量元素の特徴解析
・イヌ・ネコの体内濃度比較と暴露との関係解析

研究に使われた試料は、安楽死処分や交通事故死したイヌ、ネコの肝臓、腎臓、脳。さらに国内で流通するドライタイプとウェットタイプのドッグフード計20商品、キャットフード計19商品を分析した。

ペットフード安全法で定められている成分規格では、サンプル中の含水率が10%と設定されている。今回、分析するにあたりキャットフード、ドッグフードともにドライ、ウェットそれぞれの平均含水率を算出。この数値を含水率10%の設定に計算し直して、上限値を割り出した。

■ペットフードの安全性評価と健康影響評価

ペットフードの安全性評価では、最初にキャットフードに含まれる成分の分析結果を発表。分析された成分は、ペットフード安全法で上限値が設けられている強毒性元素のAs(ヒ素)、Cd(カドミウム)、Pb(鉛)の3つと、同じく強毒性元素であるHg(水銀)。それぞれの毒性は、As(ヒ素)は和歌山毒物混入カレー事件、Cd(カドミウム)はイタイイタイ病、Pb(鉛)は鉛中毒、Hg(水銀)は水俣病などとして、国際的にも有名である。

分析した結果、国内で市販されているドライタイプ、ウェットタイプのキャットフード計19商品では、上限値を超えるものはなかった。つまり法律上は安全ということ結果になった。

そこで次に、ネコの健康影響評価を発表。世界保健機構(WHO)と米国環境保護庁(USFPA)が制定する「毎日一生涯摂取し続けても健康影響がないとされる量」(※ただし、この数値はペット対象が存在せず、あくまで人間を対象とした数値を参考にしている)に、先ほどの数値を照らし合わせてみることに。

すると、ドライタイプ全10商品の中では、As(ヒ素)は1商品以外全て基準値を超えており、Cd(カドミウム)は2商品が、Pb(鉛)は4商品が超えていた。また、強毒性元素のひとつであるHg(水銀)に関しては、全ての商品が基準値を大幅に超える結果が出た。

一方、ウェットタイプ全9商品では、Pb(鉛)は超えているものはなかったものの、As(ヒ素)とHg(水銀)は全ての商品が基準値を大幅に超えており、Cd(カドミウム)は5商品が超えていた。

この結果を見て、寶來先生は「これはあくまで人を対象にした数値なので今後ペットに合わせた評価法を確立することが必要になりますが、毎日一生涯食べ続けても本当に安全と言えるのかな?と思います」とコメントした。

続いてドッグフードの安全性評価が発表された。こちらも同じように上限値を超えるものはなく、国が定めた数値では法律上安全といえる。しかし、寶來先生は「こちらもキャットフード同様に毎日一生涯食べ続けても本当に安全と言えるのか?を考えていく必要がある」と述べた。

■イヌ・ネコのフード中微量元素濃度比較

次にイヌとネコのフード中微量元素濃度比較を発表。この分析結果では、As(ヒ素)とHg(水銀)の濃度がドッグフードよりもキャットフードの方が高いことがわかった。キャットフードとドッグフードのわかりやすい違いといえば、キャットフードは原材料に魚介類のエキスを使用している点が挙げられる。

今度は実際に体内に残っている濃度を分析するため、ネコの肝臓に含まれるAs(ヒ素)レベルを野生動物と比較した。こうしてみると、ネコの肝臓に含まれるAs(ヒ素)レベルは総体的に高いといえる。

これが一般的な数値なのかどうかについて、「はっきりいって一般的とは言えません。As(ヒ素)の濃度を陸生哺乳類と海生哺乳類で比べた時、基本的に海生哺乳類のほうが高くなります。それはなぜかというと、As(ヒ素)は魚に多く含まれており、それを海生哺乳類が食べるからです。陸生哺乳類であるネコがここまで高いことには、正直、私も驚きました。私はペットフードからの暴露が原因なのではないかと考えております」と寶來先生はいう。

後半へ続く

文/編集部

@DIME編集部

最終更新:9/26(月) 7:10

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