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日銀の「新型金融緩和」に潜む2つの問題点

マネーポストWEB 9/26(月) 16:00配信

 日銀は9月21日に開催した金融政策決定会合で、新しい金融緩和政策を発表した。その中で、金融市場が最も注目しているのが「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」である。日銀のこれまでの金融緩和策との大きな違いは、長期金利を目標とする金利に誘導するという点だ。その中身について解説をしていこう。

 日銀のコメントによると、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とは、「2%の物価安定目標が実現するまで、10年物国債利回りを0%程度に誘導する」こととしている。まず、ここでいう「10年物国債」とは、文字どおり、毎月財務省が発行している満期が10年の国債のことである。

 財務省は満期が異なるさまざまな国債を発行しているが、その内、ほぼ毎月発行しているのは10年物国債で、発行量は国債の中で最大。おもな販売先は銀行や証券会社などの金融機関で、購入した金融機関はそのまま保有したり、別の金融機関に販売をしている。

 そして、直近で発行された10年物国債(「新発10年物国債」と呼ぶ)が、金融機関同士で取引されるときの利回りが10年物国債利回りとなり、金融市場で長期金利とされるのである。つまり、長期金利は日銀が決めているのではなく、金融機関同士の売買で形成されていることになる。

 10年物国債は毎月発行されるため、1か月ごとに対象となる銘柄は交代する。国債には発行回数を表わす「回号」付いており、2016年9月の新発10年物国債の回号は「344回債」。この344回債の21日の利回り(終値)は-0.035%だったので、9月21日時点の長期金利は-0.035%、ということになる。

 そこで、改めて今回の日銀の金融緩和策を検討してみると、目下、2つの問題点が浮かび上がってくる。ひとつは、前述したように、長期金利は日銀が決めるのではなく、金融市場における金融機関同士の取引で決まってくるため、日銀の思惑どおり、0%程度に“誘導”できるかどうか不透明な点だ。

 ふたつめは、現時点の長期金利がマイナス水準であるため、0%に誘導するということは、金融緩和ではなく金融引き締めにつながるのではないかと金融市場が受け止めてしまう懸念だ。外国人投資家の一部は今回の日銀の措置を“引き締め”ととらえ、実際に為替相場では日銀の発表後に円高が進んだ。

 日銀が打ち出した今回の金融政策は、国内の金融市場関係者の間でも「難しい」「わかりにくい」といった声が多い。金融緩和なのか金融引き締めなのか、解釈の仕方も識者によってかなり異なっている。今後の日銀には、マーケットに誤解を与えないような政策運営が、これまでにも増して求められるだろう。

文■松岡賢治(マネーライター)

最終更新:9/26(月) 16:00

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