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11戦無敗のトランプを破る秘策とは?

Wedge 9/26(月) 12:10配信

 今回のテーマは「大統領候補テレビ討論会の見所(2)」です。「テレビ討論会の見所(1)」では、民主党のヒラリー・クリントン候補の健康問題と絡めて非言語コミュニケーションの重要性を指摘しました。

 本稿では、まずテレビ討論会における共和党のドナルド・トランプ候補に対する有効な戦略を紹介します。次に、討論会でどのようにしてクリントン候補がオバマ大統領の出生地に関するトランプ候補の撤回発言を活用できるのかについて説明します。さらに、感情のコントロールと移入についても述べ、そのうえで討論会のポイントをまとめてみます。

ブレンド戦略

 これまで研究の一環として10州のクリントン陣営に入り、戸別訪問、電話による支持要請及び有権者登録を行ってきました、戸別訪問は昨年の8月から積み重ね、合計で2971軒になりました。その中でトランプ支持者はもちろんですが、同候補に傾いている無党派層の中に、ある傾向が存在することが明らかになったのです。彼らは、トランプ候補を「本物」とみなし、情熱的な姿に魅力を感じているのです。その一方で、クリントン候補の内政並びに外交・安全保障政策に関する知識にはそれほど価値を置いていないのです。

 テレビ討論会で政策論争となった場合、クリントン候補の豊かな知識がトランプ候補を圧倒するという見方が確かにあるのですが、筆者は必ずしもそれがクリントン候補に優位に働くとはみていません。トランプ候補は、これまでメール及びクリントン財団の問題を最大限に活用し、クリントン候補を不正直で偽物であるというレッテルづけに一定の効果を上げてきました。討論会で不利な立場に立たされると、トランプ候補は「自分は世界の大統領になるのではない。米国の大統領になるのだ」と主張し、外国政府から献金を受けたクリントン財団を批判し反撃するでしょう。それに加えて、クリントン候補の削除された約3万3000通のメールにも触れ、攻撃を畳み掛けてくるでしょう。討論会でトランプ候補は、知識よりも正直や信頼に価値を置く無党派層に訴えるのです。

 クリントン候補の立場に立ちますと、内政及び外交・安全保障政策の知識をひけらかすよりも、トランプ候補の確定申告非公開やトランプ財団のフロリダ州パム・ボンディ司法長官に対する不正政治献金問題を攻撃し、クリントン財団の便宜供与疑惑及びメール問題と「ブレンド」してしまう戦略が効果的でしょう。ブレンド戦略とは、種類や品質が相違したコーヒー豆を混合して薄めるように、相手の攻撃を弱めるための他の議論や争点を持ち出して混ぜてしまう戦略です。

 慈善事業に従事するはずのトランプ財団が、再選を狙うフロリダ州ボンティ司法長官の関連団体に2013年9月、2万5000ドル(約225万円)の政治献金をしていたのです。ガーディアン(電子版)によりますと、当時フロリダ州の検察当局はトランプ大学の詐欺問題の捜査を検討していましたが、同司法長官は十分な証拠はないとして捜査を取りやめたのです。

 クリントン候補支持を表明している民主党のジェリー・コノリー下院議員(バージニア州第11選挙区)はワシントンでテレビ討論会に関する筆者のインタビューに次のように答えてくれました。

 「メディアは、クリントン財団とトランプのフロリダ州司法長官への不正な政治献金の問題を同等に扱っています。これは間違いです。クリントン財団が便宜を図ったという証拠はありません。トランプが彼女(ボンディ司法長官)に献金をした証拠はあります」

 ちなみにメール問題に関しては、下院外交委員会に所属するコノリー議員は次のように述べました。

 「メール問題よりも、トランプが日本と韓国の核保有を容認した発言の方が問題です」

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最終更新:10/6(木) 18:21

Wedge

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