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日銀の債務超過は確定的になった。(塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 9/26(月) 7:30配信

日銀は、20日と21日の金融政策決定会合で、長期金利(10年国債利回り)をゼロ%に誘導する方針を決定しました。どのような影響が考えられるのか、出口戦略とも絡めて考えてみましょう。

最初に、経済初心者向けの解説を載せてあります。一般の方は飛ばしていただいても大丈夫ですが、復習のために一読いただければ幸いです。

■日銀は金利ゼロの国債を無限に購入することに・・・経済初心者向け解説
長期金利をゼロに誘導するということは、利回りゼロの国債を日銀が無限に買うという事を意味しています。額面100円(満期に100円戻ってくる)、金利ゼロの国債を政府が発行したとします。これを買った投資家Aが、売りに出すとします。投資家Bがこれを100円で買えば、利回りはゼロです。

しかし、投資家Bがこれを90円で買うと、利回りは1.1%になってしまいます。90円で買った国債が10年後に100円で戻ってくるとすると、10年で10円の儲けなので、毎年1円の利益となります。90円の投資で1円の利益なので、利回りは1.1%となるわけです。実際のプロの計算は今少し複雑ですが。

日銀は市場金利がゼロ%になるように誘導するわけですから、これではマズイので、日銀が自分で100円で買うことになります。こうして、市場に売りに出された国債に対して、100円で買う投資家がいない場合には、必ず日銀が買う必要が出てきます。可能性としては、無限に買わなければならないかも知れないわけです。発行済の国債を全部日銀が買ってしまえば、それ以上の売り注文は出ないでしょうから、本当に無限というわけではありませんが。

■ゼロ%のコミットは、偽薬効果狙いかも
日銀が長期金利をゼロ%に誘導することで、物価が上がるでしょうか?市場の長期金利が低位で安定し、設備投資などを促す効果は見込まれるでしょうが、それほど効果が大きいとは思われません。しかも、設備投資を促したいのであれば、誘導目標を発表して自分の手足を縛らなくても、淡々と長期国債を購入して長期金利を押し下げれば良いだけです。

では、なぜ敢えてコミットして自分の手足を縛ったのでしょうか?筆者の邪推ですが、偽薬効果を狙ったのだと思います。「日銀が本気で金融緩和を推し進めている」と市場に思わせることで、市場参加者の株買い、ドル買いを誘い、株高、ドル高による景気回復が物価を押し上げてくれると期待しているのでしょう。

そもそも黒田総裁の大胆な金融緩和で株やドルが値上がりしたのは偽薬効果でした。「金融緩和で市場に資金が出回れば、株やドルが値上がりするだろう」と予想した投資家が株やドルを買ったわけですが、実際には市場に資金は出回らなかったのです。こうした偽薬効果に味をしめて二匹目のドジョウを狙ったのだと筆者は考えているわけです。

今ひとつの可能性としては、長期金利がマイナスならば国債買い入れ額を減らしても良い、という事です。「概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」ですから、これを下回っても良いわけです。将来的にはマイナス金利の深掘りによって長期金利が大きく低下すれば、資産購入ペースを大幅に落としてくるかも知れません。

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最終更新:9/26(月) 7:30

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