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住宅ローン商品設計に見る、銀行のマーケティング戦略の違い

Wedge 2016/9/26(月) 12:20配信

 全国120銀行が提供する住宅ローンの数は1000本と言われていますが、多くの人にとって「金利1%で2000万円を35年で返すもの」というイメージしかないと思います。でも実際は、その商品設計が銀行によって大きく異なっています。それらの違いを踏まえて、ネット銀行と店舗を構えるリアル銀行のマーケティング戦略を見ていきましょう。

住宅ローン商品はどうやって設計する?

 ドラッカーの言葉に「顧客は誰か? これが最初に考えるべき問いだ」というのがありましたが、住宅ローンビジネスも同じです。誰を顧客にするのか?によって最大の特徴である金利が大きく変わってくるからです。

 住宅ローンの金利プライシングは一般に、

 住宅ローン金利 = 基準の金利 + オペレーションコスト + クレジットコスト + マージン

 で決まります。基準の金利とは短期プライムレートなどです。次に、オペレーションコストは銀行の支店の地代や人件費だと思ってください。マージンは銀行の収益。さて、クレジットコストとは何でしょうか? これは貸し倒れリスクをコストに置き換えたものです。例えば、貸し倒れリスクが低い人は取りっぱぐれる可能性が低いため、クレジットコストを低く見積もるという話です。

ネット銀行の住宅ローンは高属性ユーザー向け

 ネット銀行の商品設計は明確で、「低金利住宅ローン」です。なぜそれが可能かというと、店舗を持たない分、オペレーションコストが低いからです。さらにクレジットコストも低めに設定しています。つまり、貸し倒れリスクが低い人(業界用語で高属性と言う)に絞って商品を提供しているのです。低いオペレーションコストと低いクレジットコスト、この2つがネット銀行の低金利を実現し、高属性ユーザーに販売しているのです。

 S銀行はネット銀行の中でも特に割り切ってやっている銀行です。ある程度収入のある会社員をターゲットとしています(自営業はまず通らない)。また、これによって審査スピードの早さという別の強みも生み出しています。会社員は収入を証明する審査書類が少なくて済むので、審査スピードを上げられるのです。私の会社(モーゲージ・ネクスト)でも複数銀行を取り扱いますが、ネット銀行の審査スピードを比較するとS銀行はピカイチです。

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最終更新:2016/9/26(月) 12:20

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