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FT「イランが生産を据え置くなら、100万B/Dの生産削減を」 --- 岩瀬 昇

アゴラ 9/26(月) 16:30配信

きのう朝のブログ(#238「サウジとイランは会って討議しているが、まだ合意には達していない(http://agora-web.jp/archives/2021606.html)」)でBloombergの記事を紹介し、より重要なのは「いつの生産量を基準にするのか」また「どこの生産量データ」を使用するかだ、コミュニケの文言を注視しよう、と書いた。

さすがはFTと言うべきか、日本時間で9月23日の午後10時半ごろ報じた “Saudi Arabia backs oil production cut of 1m barrels if Iran freezes” の中で、事務局がこれらの点も討議していることを伝えている。

例によって、筆者の興味にしたがい、記事の内容を紹介しよう。

・イランが8月の生産実績である360万B/Dで据え置く(freeze)なら、サウジは100万B/Dまでの協調減産を支持する、とAnjli Raval(FTの石油ガス担当記者)は伝えている。

・3人の消息筋が金曜日に語ったところによると、サウジの代表団は、他の大手産油国が今年初めからの生産水準にまで減産し、イランが360万B/D水準に留める(cap)という案を提案している。

・他にも、今年前半年の平均生産量、第一四半期の平均生産量、あるいは1月の、または8月の平均生産量を基準とするなどのシナリオも討議されている。

・イランは公に、生産量は380万B/Dまでに戻ったが、少なくとも2011年の経済制裁前の400万B/Dにまで増産する権利がある、と主張しているので、サウジの提案はイランの抵抗に会うだろう。

・サウジの要人はFTに対し「サウジは石油市場を安定化させる目的で、信頼に足る合意形成のため、産油国のコンセンサスを求めている。この目的達成のため、いくつかの異なったシナリオとオプションを検討している」と述べた。

・サウジは今週ウィーンで、イランを含めた技術的アナリストたちと討議したが、来週のアルジェにおける大臣級非公式会議でも行う予定で、目的は正式に集まる11月のOPEC総会で合意に達することだ、と語った。

・まだ、如何なる合意にも達してはいない。

・サウジは、コンサルタントやアナリストの、いわゆる「二次ソース」の数量データを使用することを提案しているが、イランや湾岸3カ国は、自国政府のデータを使用することを望んでいる。

・なお、これらとは別の他の提案が、来週の国際エネルギーフォーラムの場、あるいはそれ以前に行われる可能性もある。この会議にはロシアも参加予定。

・サウジは、如何なる生産削減も、生産国が説明責任を負う、信頼に足るもので、供給過剰の石油市場安定化のために十分大きく、かつ全産油国が合意すべきものだ、と語っている。

なるほど。
サウジの意向は見えてきた。だが、イランがどう反応するか。
「サウジ王家は聖地を守護する資格がない」とまで、自国民のハジ巡礼を拒否されたときに語ったハメネイ最高指導者を抱くイランは、どのように応えるのであろうか。

賢くて商売上手なペルシャ商人らしく、400万B/Dまでの増産権利を保留しつつ、表面上は他国と歩調を合わせる芸当を見せるのだろうか。

興味津々の展開になりそうだ。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年9月23日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちら(http://ameblo.jp/nobbypapa/)をご覧ください。

岩瀬 昇

最終更新:9/26(月) 16:30

アゴラ

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