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政府も見切り?崖っぷちのジャパンディスプレイ

JBpress 9/26(月) 6:15配信

 次世代ディスプレイ技術である有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)をめぐって日本メーカーが岐路に立たされている。

 台湾・鴻海精密工業の傘下に入ったシャープは、韓国勢と対抗する目的で、日の丸液晶メーカーであるジャパンディスプレイ(JDI)に突然、連携を呼びかけた。しかし、JDIはアップル依存が裏目に出て2期連続の赤字を垂れ流している状況であり、先行投資をしている余裕はない。昨日(9月25日)には、主力取引銀行団に最大で500億円規模の融資を要請したという報道もあった。

 しかも、これまでJDIを丸抱えで支援してきた政府からは、このまま業績不振が続いた場合、株式の売却もあり得るという、まさにハシゴを外すような発言まで飛び出している。

■ 台湾企業になったシャープが突然「日の丸連合」を提唱

 シャープの戴正呉社長は8月末、次世代ディスプレイである有機ELパネルについて、突如、JDIと共同開発したいとの考えを明らかにした。シャープとJDIが手を組み、先行する韓国勢に「日の丸連合」で対抗しようという戴氏の発言は、事前の根回しなどもなくJDI側にとってもまさに寝耳に水だったようである。

 有機ELについては、これまで各社が次世代技術として取り組んできたが、状況は不透明だった。しかし、アップルがiPhoneの次世代ディスプレイとして正式に採用を決定したことから状況が一変。韓国勢は積極的な先行投資を行って日本勢をリードしている。

 シャープは現在、台湾の鴻海精密工業の支援を受け、約2000億円を投じて有機ELの開発を進めている。堺の工場内には生産ラインが設置されており、2018年にも量産を始める予定である。鴻海はiPhoneの製造受託企業なのでアップルとの関係は密接である。

 鴻海が本気で有機ELの生産を強化したければ、豊富な資金力を背景にシャープ単独で事業を展開すれば済む話だ。戴氏が突然、JDIとの提携を口にした真意は不明だが、このタイミングでわざわざ連携を呼びかけたということは、同社の有機ELシフトが順調ではないことを暗に物語っている。一部からは製造装置の確保がうまくいっていないのではないかとの声も聞こえてくる。

■ 最新工場の建設資金はアップルが提供していた

 もっとも、連携を呼びかけられたJDIの経営状況も厳しい。同社の2015年3月期決算は123億円の赤字、2016年3月期の決算はなんと318億円の赤字だった。直近の2016年4~6月期決算は売上高が前年同期比で30%減も減っており、すでに赤字額は117億円に達している。

 同社は、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合し、政府系ファンドの産業革新機構がほとんどの株を持つ事実上の国営企業として2012年2月に発足した。政府が全面的に支援する日の丸液晶メーカーだが、売上高の半分以上がアップル向けという完全なiPhone依存体質となっている。iPhoneの販売が急減速したことから、同社の業績も急降下しているという図式だ。

 市場では一時、同社が資金繰りに窮しているのではないかとの噂が流れ、筆頭株主の官民ファンド産業革新機構から「全面的な支援を受けている」と釈明する必要に迫られた。

 2016年6月時点における同社の自己資本比率は39.2%と比較的高く、とりあえず636億円のキャッシュを保有している。存続が危ぶまれるというほどの状況ではないが、厳しい環境にあるのは間違いない。特に今後の経営の道筋が立てられないという点ではかなり危機的な状況といってよいだろう。

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最終更新:9/26(月) 7:10

JBpress

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