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ディーゼル対ショーンは衝撃のベビーVSベビー――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第187回(1995年編)

週刊SPA! 9/26(月) 9:10配信

 WWE世界ヘビー級王者ディーゼル(ケビン・ナッシュ)にショーン・マイケルズが挑戦した同タイトルマッチは“レッスルマニア11”(1995年4月2日=コネティカット州ハートフォード、ハートフォード・シビックセンター)の第6試合にラインアップされた。

 全7試合中、第6試合というポジションはダブル・メインイベントのひとつめととらえることもできるし、日本式にいえばセミファイナルということにもなる。ビンス・マクマホンは、このタイトルマッチではなく“元NFLスーパースター”ローレンス・テイラー対バンバン・ビガロのシングルマッチを“レッスルマニア11”の大トリにレイアウトした。

 ディーゼル対ショーンのWWE世界ヘビー級選手権は、この時点でのWWEのトップ2の顔合わせであったことはいうまでもない。基本的なポジショニングはあくまでもチャンピオンのディーゼルがベビーフェースで、チャレンジャーのショーンがヒールだったが、試合開始のゴングが鳴ってみると、観客の声援は予想どおりといえば予想どおりフィフティー・フィフティーのスプリット状態になった。

 1.22PPV“ロイヤルランブル”で時間差式・変則バトルロイヤル“ロイヤルランブル”に優勝し、“レッスルマニア11”のメインイベント出場権を獲得したショーンは、自然発生的なモードでのベビーフェース転向を果たしつつあった。

 おそらくそれはビンスが想定していた展開ではなかったのだろう。その証拠に“相棒”ディーゼルと仲間割れを演じたショーンには新しいボディーガード役として大型ヒールのサイコ・セッドがキャスティングされていた。ディーゼル対ショーンのタイトルマッチにリング下からちょっかいを出すのがショーンのセコンドのセッド、という図式が団体サイドがプロデュースした、このタイトルマッチの基本モードだった。

 4.2“レッスルマニア11”へ向けての2月と3月の2カ月間の連続ドラマはショーンを中心に動きつづけ、その結果として観客はショーンをベビーフェース・サイドのキーパーソンととらえるようになった。全米ツアーのハウスショーではディーゼル、“ヒットマン”ブレット・ハートよりもすでにショーンに声援が集まっていた。

 “レッスルマニア”にはやはりセレブリティーのゲストが必要なのだろう。ディーゼルは、女優というよりは“お騒がせ芸能人”といったほうがより正確なパメラ・アンダーソンといっしょに入場ランプに現れた。ショーンはMTVの人気VJ、ジェニファー・マッカーシーと仲よく腕を組んで花道を歩いてきた。

 序盤戦はショーンの大技レパートリーのオンパレードとなった。ロープサイドでのランニング・クローズラインでディーゼルをトップロープごしに場外に転落させると、ショーンはコーナーからの飛距離4メートルのフライング・クロスボディー(プランチャ)を場外のディーゼルにヒットさせた。

 試合開始から16分経過の時点でショーンの十八番スウィート・チン・ミュージック(スーパーキック)がディーゼルのアゴをとらえたが、レフェリーが場外のセッドに気をとられていたためフォール・カウントを入れるタイミングが遅くなり、ディーゼルはこれをカウント2でクリアした。ほとんどの観客はこのワンシーンを“まぼろしのフォール”として理解した。

 フィニッシュ・シーンは、ディーゼルがスネーク・アイ(ショルダーバスターの体勢で肩にかついだ相手を顔面からターンバックル上に落とす技)、ビッグブーツ、ジャックナイフ(投げっぱなしパワーボム)の必殺フルコースでショーンを完全フォール。ショーンの王座奪取シーンを予想していた観客の期待を裏切る形でディーゼルが王座防衛に成功した。

 試合終了後、ディーゼルはゲスト・セレブリティーをもういちどリングに上げてカーテルコールを演出した。前年11月のWWE世界王座獲得あたりから伸ばしはじめていたストレートの髪は、ちょうどいい長さのワンレングスになっていた。勝者ディーゼルも敗者ショーンもベビーフェースとしてリングを降りた。実況ブースでプレー・バイ・プレーをつとめていたビンスは、マイクに向かって「新世代の選択!The Choice of New Generation!」を連呼しつづけた。(つづく)

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

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最終更新:9/26(月) 9:10

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