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中国の旅行社に圧力まで掛けた韓国政府の「中国訪朝ツアー客激減作戦」が水泡に帰していた!

HARBOR BUSINESS Online 9/27(火) 9:10配信

 今年3月、北朝鮮に対する国連制裁強化後、韓国政府は、北朝鮮へ観光入国する旅行者を減らす政策を始め、訪朝外国人の9割を占める中国人訪朝者削減へ取り組むと発表した。

 その結果、5月3日の韓国「聯合ニュース」は、中国東北3省で北朝鮮ツアー実施を確認した52社のうち45社の停止を確認、停止率86.5%となったと韓国政府による対北制裁の成果を大々的に報じた。

 韓国が国を挙げて制裁成果を強調するのは、韓国は、国連制裁を率先して履行しているというアピールであり、それ以上に朴槿恵政権への支持率を上げるために利用する内政的な側面も強い。

 しかし、韓国が外国企業である中国の旅行会社へ圧力をかけ中国人訪朝者を減らすことができるのはなぜか。これは内政干渉ではないのかという疑念が残る。

 中国大連のある旅行社は、4月のある日、韓国瀋陽領事館大連事務所から電話があり、単刀直入に北ツアーの実施有無を聞かれたという。北ツアーを実施していたので実施していると答えると、韓国政府が認可した韓国ツアー手配ライセンスを取り消すと脅してきたという。電話による口頭のやり取りだけとはいえ、なぜ韓国政府がここまで強気に中国の旅行社に圧力を掛けられたのだろうか?

◆激減の理由は「韓国政府の指導」にあらず!?

「韓国が強気に中国の旅行社へ圧力をかけられる理由は、中国人向け韓国ツアーの実態も関係しています。毎年、韓国入国後に逃げ出して行方不明になる中国人が数百人単位で存在し、脱走者が多い旅行社はライセンス取り消しなどのペナルティが課せられています。昨年、大連のX社は1社だけで20人の脱走者を出し、ライセンスが取り消されています。韓国は、「おたくは昨年6人脱走者を出したよね?本来であれば罰金を科すところだけど、北朝鮮ツアーを中止すれば、見逃してあげるよ」的な交換条件を突きつけています」(大連の旅行会社代表)

 もっとも、中国の旅行社もしたたかなもので、「表面上、韓国の要求を飲み込みましたが、北朝鮮ツアー希望者がいれば、委託提携先へ依頼して実施しているので実質、南北両方のツアー扱っているのと同じです」(丹東の旅行社担当者)といったものだった。

 そのため、韓国は、政府主導の対北政策で中国人訪朝者が減ったとことさら強調しているが、中国人訪朝者が減ったのは、今年1月の核実験以降、中国での北朝鮮に対する心象悪化の方が要因として大きかったと中朝関係筋は語る。

「この数年、中朝両政府はかつてないほど緊張状態にあり、1月の核実験の際も中国のテレビや新聞で大きく批判的に取り上げ、中国政府が批判していることも繰り返し流れた結果、中国人の中で『北朝鮮=恐い』が成立し、結果、中国人訪朝者が減ったのだと思われます」(同上)

 結果的に韓国が目指した中国人訪朝者激減作戦は功を奏したかのように思われたが、7月に状況は一変する。

◆7月以降、再び訪朝中国観光客が増加!

 7月9日、中国は中国人向け北朝鮮ビザなし渡航を全面解禁をしたのだ。これによりIDカードがあればパスポートがなくても当日申込みで丹東対岸の新義州など数か所へ日帰り訪朝ができるようになったのだ。

『中国網』によれば、ビザなし渡航解禁後1日1000人の中国人が新義州日帰り観光へ参加していると報じている。

 中国人のビザなし訪朝は、本来2013年から実施される予定だったが、北の核実験により一部のみの試験実施となっていたのが全面解禁となった。その背景には、韓国への配備が決定し中国が猛烈に反発している「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」により中韓関係が急速に悪化し、中朝関係に復縁の動きがあることも無関係ではあるまい。

 9月上旬に新義州日帰り観光を実施している丹東の旅行会社へ取材すると、現在も1日数百人くらいが日帰り観光しており費用は350元(約5300円)。私用のパスポートを持てない一部の国家公務員に好評だという。この旅行会社へは韓国政府から連絡はなかったそうだが、韓国ツアー希望者がいれば、グループ企業へ委託しているという。結果的に分業化のような状態になっていることが分かる。

 北朝鮮は、9月9日に5回目の核実験を実施したが、以降も観光は継続されている。もはや中国は核実験容認させ匂わせている。

 それにしても5か月に及ぶ韓国政府による中国人訪朝者激減作戦は一体何だったのだろうか。

<取材・文・撮影/中野鷹>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/27(火) 12:44

HARBOR BUSINESS Online

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。