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弁護士事務所は今も昔もブラック企業!? 若手弁護士たちは未熟なまま法廷へ…

週刊SPA! 9/27(火) 9:10配信

 日本における国家資格の最難関である司法試験。突破した者には富と栄誉が約束されていたのは、今や昔。気がつけばサラリーマンよりも稼げない若手弁護士が急増。その困窮の現場を探った。

◆弁護士事務所は今も昔もブラック企業!?

 「市民の司法アクセスを容易に」を旗印に進められてきた司法制度改革だが、その結果として弁護士の報酬は厳しいものとなっている。では、この状況をベテラン弁護士はどう見ているのだろうか。20年選手の小川義龍弁護士に聞いた。

「法テラス経由で報酬を受け取ったのに依頼人からも報酬を得、かつ返金を拒んで懲戒処分を受けた大渕愛子弁護士の一件は、弁護士としての資質を疑う信じられない行為です。彼女は『法テラスの制度をよく知らなかった』と会見で語っていましたが、あれは若手の弁護士が修業不足のままで世の中に出て行くという、弁護士業界の現状を象徴していると思います」

 基本的な研鑽を積めていない弁護士が粗製濫造されそうだと小川弁護士は指摘する。

「民事の法廷において、素人みたいなトンチンカンな主張・立証をする若手弁護士とときどき会うようになりました。私が有利になるからいいのですが、相手の依頼者のことを考えると気の毒です。弁護士は、弁護士になってから仕事のなかで職人の技を磨いていくものです。どこかの法律事務所に勤めればいいのですが、就職先がないと未熟なまま独立せざるをえないのでしょう」

 弁護士の増加に伴い、一人前の弁護士に育つために必要なプロセスに乗れない者が、多々現れてしまったというわけなのだ。

「私が若手の頃は、勤務弁護士の待遇や拘束時間はブラックが当たり前でした。経験を積んで人脈を広げる修業をさせてもらっているのですから、給料をもらえるだけでも幸せですよ。そこで次につながるお客さんを掴んで、独立していくんです」

 かつてはそんな知力と野心に溢れた者がのし上がっていった弁護士業界は、今や金持ちの子女しか生き残れない世界になりつつある。

「合格率が低い旧司法試験制度の下では弁護士は簡単に世襲できるものではなかったのですが、今は法科大学院に通えば2割弱は合格します。その学費と司法修習の経済的負担に耐えられる人たちに有利な環境になってしまったのです」

 3年前に弁護士登録した原田史康さん(仮名・32歳男性)は、取材の最後に深い嘆息とともにこう漏らした。

「自分がこんなに弁護士に向いていないなんて思わなかった。一般企業に勤めるのが怖くて弁護士を目指した人間が弁護士になっても仕事にならない。たぶん就職していたほうが楽だったと思います」

 若手弁護士たちの苦難は、しばらく続きそうである。

【小川義龍氏】

’87年早稲田大学法学部卒。司法修習46期。’94年弁護士登録。東京弁護士会内の各委員会にて、非弁提携(事件屋)や広告の調査など弁護士業務の適正化に携わる

取材・文/SPA!弁護士貧困問題取材班

― [貧乏弁護士]急増にはワケがあった ―

日刊SPA!

最終更新:9/27(火) 9:10

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北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。