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リオで生まれた2人の金メダリスト 日本男子柔道はなぜ再び五輪で勝てたのか

THE ANSWER 9/28(水) 15:46配信

対照的なスタイルを見せた2人の金メダリスト、「どちらも『正解』」

 リオデジャネイロ五輪で7階級合わせて金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル4個という好結果を残し、1964年の東京五輪以来となる全階級でのメダル獲得を達成した日本男子柔道。特に脚光を浴びたのは大野将平(旭化成)とベイカー茉秋(東海大)の2人の金メダリストだった。ここ近年、柔道の国際化が進んだこともあり、苦しんできた日本柔道界だが、リオでの復権の理由、そして大野とベイカーの勝利の要因とは何だったのか。1996年アトランタ大会、2000年シドニー大会、04年アテネ大会と五輪3連覇を成し遂げた野村忠宏さんに聞いた。

【画像】リオ五輪に出場した日本人イケメンアスリート

「率直に言うと、いい選手が揃っていたんですよ」

 現地リオデジャネイロでコメンテーターも務めた野村さんはこう切り出した。4年前のロンドン五輪では銀メダル2個、銅メダル2個を獲得したものの史上初めて金メダルを獲得できず、“お家芸の危機”と叫ばれた。その中で井上康生監督が就任し、変化があったという。

「井上監督体制になって、柔道のルール変更に対応するために、色々なジャンルから練習方法を取り入れた点は見逃せません。自分たち日本人のスタイルがあるとすれば、それは間合いを取っていくものなんですよね。ただ、今の柔道は“密着型”になっているんです。お互いの間合いがより近づくことで、パワーがより重要視されるようになりました」

 日本で脈々と受け継がれる柔道と、世界に広がる“JUDO”の違いはよく話題となる部分ではあるが、間合い一つをとっても違いがある。日本柔道はリオ五輪に向けてそのギャップを看過せずに埋めていったという。

真っ向から組み合う大野、「受けの強さも含めてパーフェクト」

「以前ならば間合いが取れていた分だけ、日本人らしいテクニックが通用しやすかった面があります。間合いが近すぎると技術がなかなか通じなくなる。テクニックと同時に体のパワー、つまり体幹を強くすることが大事になってきます。そのスタイルに対応できるように、専門のトレーナーを招聘してトレーニング方法を見直したのも一つの要因となりましたね」

 その象徴的な存在は73キロ級の大野だ。初戦から決勝までの全5試合をすべて一本勝ちで勝利し、全階級を通じても圧倒的な強さを見せたのは印象深い。野村さんは大学の後輩でもある大野についてこう評している。

「大野選手は小細工なしで真っ向から組み合っていくスタイルです。それと同時に体の軸の強さと相手を投げる強さ、これがずば抜けていました。受けの強さも含めてパーフェクト。すべてを兼ね備えています。具体的なポイントを挙げると、大野選手の階級だと上背のある選手が多くいます。身長を生かして上や横からつかんで、潰すことで相手の反則を狙ってくる。

 大抵の選手はつぶされると腰が落ちてしまって、後ろに下がってしまい相手を投げられる状態ではなくなる。だけど大野選手の場合は上から押しかかられても、首は下がっても体勢が崩れない。そのため、前に出られるので海外の選手相手にも自分の柔道スタイルを貫けるんです」

 つまり、大野は日々の稽古で磨き上げた技術を土台にしつつ、間合いを詰められても技を仕掛けられるパワーを両立させたのである。その“万能性”こそが全試合一本勝ちの原動力になったと言えよう。

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最終更新:9/28(水) 15:46

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