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アウトドアブランドのパタゴニアが食品事業に参入した理由

@DIME 9/28(水) 7:30配信

■海から川へ帰るサーモンは環境のパラメータ

 社員の健康被害をきっかけに、すべてのコットン製品をオーガニック・コットンに切り替え、製品の製造過程を調査。環境影響を追跡してフットプリント・クロニクルで公表するなど「最高の製品を作り、環境に与える悪影響を最小限に抑え、環境危機の解決に向けて実行する」というミッションのもと、高機能なアウトドアウエアを開発するパタゴニア。そんなパタゴニアが手がけた、こだわりいっぱいの食品が日本に上陸した。

「社員の間でも、パタゴニアが食品?と驚きでいっぱいでした。

 実ははパタゴニアでは、2011年に期間限定でワイルド・サーモンジャーキーを販売。そこから本腰をいれ、本社のあるアメリカでは2014年よりサーモンやフルーツバーなどをラインナップした”パタゴニア プロビジョンズ”の販売がはじまっています。

 早くから日本でも扱いたかったのですが、日本の場合はアメリカより食品を輸入する形。食品の輸入はウエアとは違ったレギュレーションで時間がかかってしまいましたが、ようやく9月より安全でおいしい食品を提供できるようになりました」と語るのは、パタゴニア日本支社 パタゴニア プロビジョンズのマネージャー、近藤勝宏さん。

 きっかけは、無類の釣り好きとしても知られる創業者兼オーナーのイヴォン・シュイナードが、サーモンをとりまく環境の実態を知ったこと。サーモンはアメリカでもっとも食される魚であり、イヴォン・シュイナードの好物でもあるのだが、海外の養殖場では抗生剤や成長を促すための薬品が多く使われている国もあるのだとか。

「パタゴニアはコットンと農薬の関係に気づき、環境改善にむけて対応してきましたが、安全な食品作りは環境改善に直接つながっているように思えます。狙ったサーモン以外の魚を捕らない昔ながらの漁法で捕獲した天然サーモンは、身が締まっていてじつにおいしい。私もサーモンが好きでよく食べていたんですが、いつも食べていたサーモンとは味の違いが明らかなんです。ウエアでは機能性に加えてデザインがよくないとダメですが、食品も安全だけではダメ。おいしくないと1回限りになってしまいますから」(近藤さん)

■ソテーだけでなく、アレンジも楽しい

 パタゴニア プロビジョンズのワイルド・サーモンは、アラスカ生まれの紅ザケとワシントン州ラミ島でとれたカラフトマスを軽く燻製にかけて風味付けをしているソフトなフィレ。常温保存ができ、そのまま食べるだけでなくパスタやごはんに混ぜるなどアレンジするおもしろさも見逃せない。

「アメリカではアリス・ウォータース(スローフードやオーガニック料理を広めたシェフ)をアンバサダーに迎え、さまざまなアドバイスをいただいています。日本でもパタゴニアの理念を理解していただける方々にパタゴニア プロビジョンズの食品を試してもらっているところ」(近藤さん)というから楽しみだ。

■「調べる」ことの大切さに気づく食品

 気になるラインアップは、そのまま食べられるサーモンやフルーツ・バー、お湯だけで作れるスープ、そして飲み物やフードを入れるボトル&フード・キャニスターなど。パタゴニアらしく、キャンプやスポーツ時にうれしいものが充実している。

 スープは具だくさんでたっぷり2人前。オーガニックの黒豆やレンズ豆、ツァンパ(裸麦)などを用いており腹持ち良好だ。このスープ誕生にもイヴォン・シュイナードが大きく関わっている。チベットを訪れる際、フリーズドライ食品を持って行っていたそうだが、現地のシェルパが食べているツァンパに注目。手軽に亜鉛と脂肪分以外の栄養を摂取できると知ったのだとか。

「食品の製品開発は続いており、今後もバリエーションが増える予定。常温保存ができるのでアウトドアに興味ある人はもちろん、非常食としても活躍します。保存料不使用で安全な食品なので、食への意識が高い人にも、気軽にランチやホームパーティーなどで使って欲しいですね」(近藤さん)

 近藤さんによると、日本は持続可能な自然農業の先駆者。今はアメリカから輸入しているが、いずれ日本の食材を使った独自の食品も開発したいとのこと。まだ先のことだが注目していきたい。

 現在は“いい、安全”といわれるモノでも調べると疑問が残る場合があるのだが、過程がわかるパタゴニア プロビジョンズは、我々に安心を与えてくれる。そして、口にするモノ、肌に触れるモノ、身の回りのものについて「調べる」という姿勢が、環境改善の第一歩だと教えてくれる食品だ。

パタゴニア プロビジョンズは直営店とオンラインショップで販売しており、購入者には写真のステッカーをプレゼント(なくなり次第終了)。今後、アウトドアショップやオーガニックフードの店など、いろいろな店で手にできるよう期待したい。

取材・文/大森弘江

@DIME編集部

最終更新:9/28(水) 7:30

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