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日本ハム優勝!ベンチ裏エピソードで振り返る2016ファイターズ秘話は「ネタもV」

週刊SPA! 9/28(水) 22:20配信

 北海道日本ハムファイターズ、4年ぶりにパ・リーグ制覇!最大11.5ゲーム離された王者・福岡ソフトバンクホークスを執念でまくり、球史に残る大逆転劇をやってのけたファイターズ。リーグ制覇に導いた野球的解説……は専門誌に任せ、ここではグラウンド外で起こったエピソードに注目。

 題して、『2016パ覇者・ファイターズのベンチ裏事件簿ベスト5!』ベンチ裏で起こった様々な出来事から、ファイターズの強さをひも解く!

●第5位:すべては大谷のイジりから始まった!“有原キングダムT”のてん末

 今年の春季アリゾナキャンプ。投手陣たちが見慣れぬTシャツを一様に着ていた。胸には“ARIHARA KINGDOM”の文字が。今年2年目を迎える有原が去年獲得した新人王、それを祝して投手陣が作ったものなのか。もしくはキャンプ中の有原のピッチングを見た投手陣たちが、「これは投手で王になれる逸材」と賛辞を送る意味で作ったのか。

 真相はこうだ。キャンプ中、エアロバイクばかりトレーニングをしていた有原を見た大谷らが、

「有原さんバイク王っすね」

 とイジりだしたのが、ことの発端。そこからいつしか「バイク王」から「バイク」が抜け、「王」が「キングダム」に進化。単なるイジリとシャレから生まれたTシャツはファンからも注目を集めるようになり、遂に球団が商品化させたのであった。

 しかし新人王を獲ったとはいえ2年目の有原にとってキングの称号は重い……かと思いきや、前半戦だけで10勝をマークし、リーグ優勝に大いに貢献。そして、そんな活躍を見越したかのような大谷の「キング」イジリという、先見の明。投手陣はシーズン前から結束していたのであった。

●4位:佑ちゃんも見習え!! 替え歌王・新垣勇人のプライド

 ファイターズファン以外に馴染みが薄いと思うが、4年目の新垣勇人という投手がいる。彼がチーム内で注目されたのは、投球ではなく、チームメイトを前に行う恒例の一発ギャグだった。

・尾崎豊『卒業』の替え歌で、

♪中11日からの卒業~

・ジョニーこと黒木投手コーチの前で、『キューティーハニー』の替え歌

♪抹消しないでジョニー~

 6月25日に一軍登録され7月29日に抹消されるまで新垣は毎日新作の替え歌を披露し、最初は投手陣だけに評判だった芸も、最後にはチーム全体から慕われる存在へとなった。この間からチームは15連勝を記録し、完全に上昇気流に。今年登板4・未勝利に終わった新垣だが、チームの雰囲気づくりという意味では十分な戦力であったと筆者は確信している。

 新垣は26歳でプロ入りの遅咲き。プロ入り後も通算わずか1勝。しかしいい意味でプライドを捨てたがゆえ、目に見えぬ戦力となりえたのだ。個人名を出して申し訳ないが、対して斎藤佑樹。彼も少しはその大きすぎるプライドを脱ぎ捨てることができれば、選手としてひとまわり大きな存在になれると信じているのだが。佑ちゃん、来年こそは頼むよっ!

●3位:サイレントK・石井ちゃんの声出し

 先天性難聴で左耳はまったく聞こえず、右耳も補聴器をつけわずかに聞こえる程度だという、中継ぎ投手の石井ちゃんこと石井裕也投手。ピンチでマウンドに上がると補聴器のスイッチを切り、完全な静寂のなか相手バッターと相対する。ついたあだ名は、サイレントK。

 シーズンも最終盤のとあるゲーム前の声出し。輪の中心には、その石井ちゃんの姿が。音声は拾われてなかったものの、石井ちゃんが何か叫ぶとナインは「オウ!」と気勢を上げ、みなが笑顔に。彼の障害を考えると、何て素敵なチームなんだと、ファン歴35年の筆者は改めて思ったのであった。

 来年はぜひ、ヒーローインタビューで石井ちゃんの声を聞いてみたい。

●2位:スシボーイ・レアード、暴れるキングを笑いでフォロー

 ホームランを打つと寿司を握るポーズが定番となっているレアード。人懐っこい性格でファンから愛されている助っ人だが、彼のナイスガイぶりを表すエピソードがある。

 7月末のソフトバンク戦、5失点KOされた有原は怒りのままベンチ裏の壁を蹴りで破壊。チームの和を乱す身勝手な行為で、ベンチの雰囲気も最悪に。そこでレアードが機転を利かした。壊れた部分にペタペタとテープを貼り、その下に“ARIHARA”とサイン。すると先ほどまで凍りついていたベンチは爆笑へと変化。それで我に返った有原は、平身低頭で関係者に謝罪したという。

 ユーモアで有原とチームの空気を変えたレアード。そんな彼は現在パリーグ本塁打王として、優勝に大きく貢献した。

●1位:「俺のために優勝しろ」引退を決意した武田勝のメッセージ

 9月22日から、ベンチにある文字が書かれた紙が貼られるようになった。

「俺のために優勝しろ」

 書いた主は武田勝・38歳、今季限りでの引退を表明したベテラン左腕だ。

 これにナインは呼応した。

 まずシーズン途中でクローザー失格を言い渡され、先発転向となった増井。150キロを超す剛速球が自慢の増井は先発転向に際し、その理想像を直球は130キロそこそこの武田勝に見たという。どんどんストライクゾーンに投げ込み、そこで勝負する“勝スタイル”を会得した増井は先発転向後6連勝の大活躍。台湾のスター、陽岱鋼もケガでファーム調整中、同期入団の武田勝から数々のアドバイスをもらったという。

 例え登板が少なくギャグ要員と呼ばれても、自身が引退を決意しても、その立場でチームにどう貢献できるか。ベンチ裏も含めての全員野球こそが、ファイターズの強さの要因なのだ。

 こうしてファイターズは、武田勝のため、ファンのため、道民のため、王座奪回に成功した。

【村橋ゴロー】

1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』(主婦の友社刊)がある。Twitterは、@muragoro

日刊SPA!

最終更新:9/28(水) 22:24

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