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「ストーリー性」も魅力 地域発コスメに日本の底力

NIKKEI STYLE 9/29(木) 7:00配信

 普段使用する化粧品の原料が、どこの土地のもので、誰がどういう思いで作り、手に届くまでに何人の人がかかわったのかまで考えたことがありますか? 食品はなるべく生産者の顔が見えるものを選ぶという人でも、化粧品はブランドや機能性、トレンドなどを重視して購入することが多いのではないでしょうか。
 日本の化粧品業界は異業種の参入も多く、コストを抑えて大量生産し、結果をすぐに求める企業も少なくありません。しかし最近、地域で生産されるオンリーワンに近い原料素材や、そこにかかわる人という地域資源を生かした「地方発コスメ」がじわじわと実力をつけてきています。「生産者の顔が見える」というだけでなく、開発・製造にまつわる秘話や地域が持つ個性の魅力など「商品自体にストーリー性があるコスメ」が、「地方創生」の流れにも乗って全国区ブランドへと広がる勢いを見せているのです。

■目利きのバイヤーが地域コスメを評価

 とはいえ、これまでは地方でつくられたコスメにとって、継続的な販売チャネルを獲得するのはとても厳しい状況でした。美容・コスメ業界に詳しい月刊ダイエット&ビューティ編集長の江渕敦さんは「日本は、美容やコスメの優れた素材が全国にあふれている。しかしその素材を『売れる』商品に仕立てるにはいくつものステップが必要」と言います。
 2016年9月、東京・国際展示場で開催された美容の展示会「ダイエット&ビューティーフェア2016」(主催:UBMメディア)では、地域発信の美容アイテムを対象にした「第2回ジャパンメイド・ビューティアワード」が発表されました。審査員は流通の目利きのバイヤーなどが中心。地域資源を活用したコスメや食品を表彰し、全国レベルのブランドに引き上げていくための場です。昨年から始まったこのアワードをきっかけに、大手百貨店などの売り場を地域発コスメが確保した実績が既にいくつかあります。

 今年の最優秀賞は、奈良市に本社を置くクレコスのQUON(クオン)。地域の自然と人の資源を生かす、サステイナブルな商品づくりの取り組みが評価されました。奈良県北部の耕作放棄地を利用して自然農栽培(肥料や農薬を一切使わず、土地も耕さずに植物の持つ力を引き出すという自然農法)で育てられた大和茶を原料とし、その有効成分を、水だけで抽出する「亜臨界水抽出法」によって取り出します。茶葉だけでなく、茶花や茶実も活用します。化粧水の主原料のヘチマ水は、熊本県山都町の契約農家が無農薬・有機栽培で育てたヘチマを使い、パッケージ用の紙には、森林保護のために山から切り出した間伐材をパルプにして製造したものを使っています。
 同社副社長の暮部達夫さんは、他地域のコスメの仕掛け人でもあります。今回、アワードを同時に受賞した愛媛県西予市明浜町の「yaetoco(ヤエトコ)」、北海道上川郡の「NALUQ(ナルーク)」ブランドの立ち上げにも協力しています。
 「yaetoco」は、環境にやさしい農業に取り組む生産者団体「無茶々園」が有機農法で栽培した柑橘(果皮エキス)を使ったスキンケアアイテムが中心。かわいいデザインとみかん色のパッケージに描かれた手描きイラストが特徴で、コンセプトは家族。「家族ハンドクリーム」、「家族バーム」、「家族外遊びスプレー」など商品名には「家族」がつきます。
 「NALUQ(ナルーク)」は、北海道のトドマツのエッセンシャルオイル(精油)を原料にしたアロマ・化粧品ライン。下川町森林組合が始めた取り組みの中で生まれたトドマツ精油事業が、NPO法人森の生活により引き継がれ、株式会社フプの森として2012年に独立したもの。土地の9割が森林という下川町が、林業の衰退とともに人口が減少していくなかで町おこしに一役買ったのが、工場内の副産物から生まれたトドマツの精油でした。アロマテラピーを取り入れた「森のあるライフスタイル」を訴求する商品が広く女性の共感を集めつつあります。

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最終更新:9/29(木) 7:00

NIKKEI STYLE

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