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ブラック企業として生きながらえる戦略も!? プロ経営者が語る「やりきる力」の重要性

NIKKEI STYLE 9/29(木) 7:00配信

 日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏。普通のサラリーマンだったという同氏は、米国留学を経て3つの会社の経営トップを経験、プロの経営者の先駆けとなった。外資系のIT(情報技術)企業のほか、再建の渦中にあったダイエーなど流通大手も率いた。激しく経営環境が変化するなか、リーダーには何が求められるのか。樋口氏の連載5回目は「戦略」「戦術」の要諦となる「大局観」について語る。

■「ビッグ・ピクチャー」を持っているか

 「戦略」「戦術」は定番のビジネス用語だ。戦略なき事業は方向性を見失い、戦術なき事業は成果を生み出せない。
 しかし「戦略と戦術」の開示書類とも言うべき各社の「中期経営計画」を見ても、「これが本当に戦略、戦術なのだろうか」と首をかしげたくなることが多い。その違和感の理由は、「大局観」の有無にある。
 戦略などの前提として示されている時代認識や自分たちがめざすべき世界が、自分たちの生きてきた生態系だけを前提にしており、広がりを感じられないケースが多いのだ。
 自分たちの事業は、「グローバルに展開可能か」「歴史的に見て持続性はあるか」など、世界の状況に対する自問自答の結果、それは文明観と言ってもいいもので、それが表明されずに戦略と言われてもちょっと納得しがたいのである。
 大局観はつまり、大所高所から俯瞰(ふかん)した「ビッグ・ピクチャー(全体俯瞰図)」でもある。ビジネススクールでは、「君の意見は、3000フィートの高さから景色を見て描かれたビッグ・ピクチャーなのか」などと、しつこいぐらいに指摘を受ける。競争環境や社会環境などを大所高所から俯瞰した戦略でなければ精度の高い意思決定はできないし、戦略の有効性も低下する。
 コンピューターが将棋や囲碁でプロに勝てるようになった。コンピューターは先の手数を読むことは得意中の得意だ。しかし、コンピューターが全勝しているわけではない。それはプロが、「盤上がこのような景色の場合は、この手の方がよい」と大局観を直感できるからで、それはコンピューターはまだまだ弱い。
 これを仕事の現場に例えてみれば、若い人ほど問題意識を背景に多くの手数を示せるかもしれない。しかし経営リーダーにはある事柄の関係性や影響度を大局的に見る能力があり、それは百日ぐらいの長がある。優れた経営者ともなれば、一目見て景色を大局的に判断できるし、そこで示される判断には大きな判断と細やかな実行可能性が十分すぎるほどに盛り込まれている。つまり戦略と戦術が見事に描かれているのである。

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最終更新:9/29(木) 7:00

NIKKEI STYLE

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