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ナチスのタイムカプセルを発掘、開封

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/29(木) 6:50配信

 ヒトラーがドイツを支配していた時代に埋められたタイムカプセルを掘り出す作業が、先ごろポーランドで行われた。

【写真】ナチスが隠した財宝(イッカクの牙でつくった杯など)

 そのタイムカプセルは円筒形をした銅製のもので、1934年、ナチスが第三帝国の未来の指導者を育てるために建設していた訓練施設の基礎部分に、公式の式典を開いた際に納められていた。

 第二次大戦後、ヨーロッパでは一部の国で国境が変更された。これに伴い、カプセルが埋められたファルケンブルクはポーランド北西部に位置する町となり、名称もズウォチェニエツと改められた。その訓練施設は戦火を免れ、現在はポーランド軍に使用されている。

 カプセルは建物の基礎部分に埋められていたため、長い間手つかずのまま残されてきたが、9月6日、考古学者らが分厚いコンクリートを6メートル余りも掘り下げ、地下水の中を歩き、ナチスが残した地雷を避けながら、ついにこれを掘り出すことに成功した。カプセルが開封されたのはその1週間後のことだ。

期待と現実

 開封の結果は、人々の期待に沿うものではなかった。地元の歴史家たちの間では、カプセルが埋められる前年の1933年に行われた町創立600年の祝賀の様子を記録した映像資料が収められていると考えられてきた。しかしカプセルの中にそうしたフィルムはなく、代わりに入っていたのは硬貨、新聞、ヒトラーや高官たちの写真、訓練施設の権威を証明する羊皮紙の巻物、ヒトラーの著作『我が闘争』2冊などであった。

 タイムカプセルの開封は、とかく期待はずれに終わるものだ。新聞、本、公式文書などは過去を知る手がかりにはなるが、図書館や公文書館でも見ることができるものだ。硬貨やメダルのなかには歴史的な価値をもつものもあるとはいえ、それらが重大な発見をもたらしてくれることはほとんどない。

 タイムカプセルは、長い時を超えて別の世代同士が直接やり取りするための強力な手段と成りえる。しかし現実には、それを用意する側は、開封する側の気持ちをよく考えずに作ってしまいがちだ。今回のタイムカプセルも、訓練施設の設立という特別な出来事を祝おうと作られたのかもしれないが、むしろ、その時代の日常や文化を垣間見ることができる物の方が興味深く感じられるものだ。

 米国の電機メーカー、ウェスティングハウス社が、1939年のニューヨーク万国博覧会に向けて、5000年間保存するタイムカプセルの準備を進めていたときには、あるアドバイザーがこう言って笑ったという。「ハワード・ヒューズ、大学のフットボール、ファッションショー、ドナルドダック、女性用の帽子、タバコ、布地、万年筆……。5000年後の世界で一体誰がこんなものに興味をもつというんだ」。しかし実際には、そうした一見平凡な話題や品々のほうが、委員の名を連ねた名簿や市長の宣言書などよりも人々の心を引きつけるし、まだ生まれていない人々に向けて書かれた率直な手書きのメッセージが、一番喜ばれるものなのだ。

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最終更新:9/29(木) 6:50

ナショナル ジオグラフィック日本版

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