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エジプトIMF融資基本合意、負担強いられる国民の不満

Wedge 2016/9/29(木) 11:20配信

 国際通貨基金(IMF)は8月11日、財政構造改革の実施を条件に、エジプトに3年間で120億ドル(1兆2000億円)の融資を行うことで基本合意した。IMF理事会の最終承認後、実行される。

エジプト経済再生に不可欠なIMF支援

 「アラブの春」でムバラク大統領が2011年2月に失脚して以降、内政の混乱やイスラム過激派によるテロの影響を受けた観光客の急減、外資の流入の落ち込みから、エジプト経済は停滞し深刻な外貨不足に陥った。ちなみに、10年末には360億ドル(3兆6000億円)あった外貨準備も、今年7月末には約6割減の155億ドル(1兆5500億円)に減少している。

 IMF支援はエジプト経済に不可欠であるが、シシ大統領には両刃の剣でもある。IMFとの融資合意が、世界銀行やアフリカ開発銀行などの国際金融機関や欧米諸国などからの支援に弾みをつける点では望ましい。反面、IMFと約束した財政構造改革、例えば、エジプト・ポンドの切り下げや付加価値税(VAT)の導入、各種補助金の削減などの政策は輸入価格の上昇、国民負担の増加に直結する。

付加価値税法案への猛反発

 近々開催のIMF理事会を意識してか、エジプト国会は8月29日、付加価値税法案を承認。当初案は税率14%であったが、12%への引き下げを主張する反対派を懐柔するためか、16年7月1日から1年間は税率13%とし、翌年度から14%に引き上げる内容となった。また約50の日用品・基礎サービスは例外とされた。

 だが国会内の左翼勢力を中心とする「20-30集団」は、承認後に記者会見を開きVATの導入に断固反対すると共に大規模な抗議運動の展開を示唆した。「20-30集団」という名称は、11年1月20日と13年6月30日に開かれた大規模な反政府集会の開催日から名付けられた。同集団には著名な映画監督のハーリド・ユーセフ氏なども含まれ、無視はできない存在だ。残る構造改革の実施も容易でないことを示しているといえよう。

 政権にとって間が悪いのは、ハリド・ハナフィ供給・国内通商相が8月25日、新たに発覚した小麦補助金の不正詐取事件の責任を取り辞任に追い込まれたことである。小麦の収穫量を水増し申告しての不正受給であるだけに各種改革策導入の痛みを最も受ける低所得者の憤りは大きい。

 シシ大統領は最近行った主要国内紙のインタビューで「経済改革を先送りする時間はない」「国民も共に戦ってほしい」「私は国民が支持する限り戦い続ける」と述べ、痛みを伴う改革に理解を求めた。国民の賛同がどこまで得られるのか行方が注目される。

畑中美樹

最終更新:2016/9/29(木) 11:20

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