ここから本文です

テスラ自動運転EVで北米横断──55時間の新記録達成

WIRED.jp 9/29(木) 7:10配信

8月24日(米国時間)、アレックス・ロイとウォーレン・アーナー、フランツ・アリクオの3人は、カリフォルニア州レドンドビーチでテスラ「モデルS 90D」(注:高速モデル「P90D」ではない)のキャビンに腰をおろした。

【今年初の死亡事故が報告、注目されるその安全性】なぜ「テスラの自律走行車」の事故が目立つのか

それからちょうど55時間後、3人はニューヨーク市にある「Red Ball Garage」にクルマを乗り入れた。彼らは電気自動車(EV)による北米大陸横断の最速記録を2時間48分縮めて、4630kmを走破したのだ。

さらに、この道のりのほぼすべては自動運転機能「オートパイロット(関連記事)」による走行で、手動による制御はルートの2.3パーセントだけだった。

ガソリン自動車などの燃料補給にかかる時間よりも、EVの充電にかかる時間のほうがはるかに長いことを考えると、この偉業はいっそう輝かしさを増す。事実、彼らが乗り込んだ90Dは、ルート沿いにあるテスラの充電設備「スーパーチャージャー」での接続に合計13時間46分を費やした。

「90Dは最上級パフォーマンスのモデルではないため、バッテリー温度管理は『ルーディクラスモード』(約96.6km/hまで2.8秒で加速できるモード)を搭載したP90Dほど優れていない」とロイは『Ars Technica』US版に語った。「バッテリーを高温の状態で稼動させれば、それはつまり、充電時間も長くなるということだ」

事実、バッテリーの温度管理は、今年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)に参加したテスラ車にとっての問題でもあった。

「ルート上の制限速度は、一部の地域で65mph(104km/h)~80mph(129km/h)の幅があった。90Dのパワーの消耗は、70mph(113km/h)を超えると異常なほどになる」とロイは語る。「また、速度が90mph(145km/h)を超過してオートパイロットが解除されると、90Dの効率性は著しく低下する。速度を大幅に上げたところで、得るものは何もなかった」

3人は、空気抵抗を下げるドラフティング(ストップストリーム)などの、ハイパーマイリング(エネルギー効率の良い運転)を目的とするトリックを使わなかった。なぜならオートパイロットは、たとえ最もアグレッシヴな設定にしても、常にクルマ約1台半分の距離を、前を走るクルマとの間にあけようとするからだ。

彼らの北米大陸横断が佳境を迎えるころには、キャビンのなかは「ひどい状態になっていた。テスラ車を『レンジモード』(省電力設定)で走らせていると、車内の空調が厳しくなるのだ」とロイは語った。彼らは、パノラミック・ルーフからの太陽光を遮断する反射式サンシェードを装着していたが、それがなかったら、状況はもっと悪くなっていただろう。

レンジモードであったため、バッテリーパック内に余っている電力は、すべて走行に使われた。つまり、車内のクライメートコントロール(温度設定)は「控えめに」しか使えなかった。観測史上で最も暑かった今年の8月に成し遂げられた今回の挑戦は、大いなる偉業と言えるだろう。

JONATHAN M. GITLIN

最終更新:9/29(木) 7:10

WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.26』

コンデナスト・ジャパン

2016年12月10日発売

630円(税込み)

特集:新しい映像。新しい物語。ヴィジュアル・ストーリーテリングの新時代を伝える「WIRED TV」特集。映像はいま何を語り、どんな体験をもたらしうるのか。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。