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後悔、不安、モチベーション、コミュニケーション…もしもアドラーと老子が同時にその悩みを解決したら?

ダ・ヴィンチニュース 9/29(木) 6:30配信

 悩みや不安があるとき、心理学者や哲学者の言葉に救いを求める人がいる。しかし、心理学も哲学も説く人によって見方や考え方が異なる。だから、落ち込んでいるときの自分にとって心地よい響きの言葉だけを選んで心のよりどころにしてしまいがちだ。だが、それでは何も変わらない。根本的な解決にはならないからだ。そこで、今回は心理学と哲学をコラボさせた独自視点で悩みを解決する『世界一受けたい心理学×哲学の授業』(嶋田将也/ワニブックス)を取り上げる。

■同名の人気ブログの書籍化

 この本は同名の人気ブログを書籍化したものだ。著者の嶋田将也氏は、中学の頃に受けた壮絶ないじめが原因でうつ病を発症した経験を持つ。そんな嶋田氏は、心の問題に関心を持ち、高校時代は心理学を、大学では哲学を学んだ。その中でこの2つの学問には共通点があることに気付く。どちらも自分の心をきちんと知るために必要な学問でありながら、説く人によって答えが違うということ。そして、一見相反するような答えに思えても、結果としてどちらも正しいということだ。

 そこで、嶋田氏は、心理学と哲学両方の視点を持ち合わせた独自の見方や考え方で、かつての自分と同じような悩みを抱える人の心を救うためのブログを開設することにした。それが『世界一受けたい心理学×哲学の授業』だ。何と、開設後わずか8カ月で読者数が2000人を超えたという。それだけ同じ物事でも、心理学と哲学、両方の考え方で迫ると、悩み事も解決しやすくなるということなのだろう。

■アドラーと老子のコラボ授業?

 この本の帯には「アドラーと老子がその悩みに同時に決着をつける」と書かれている。だから、アドラーと老子が講師として会話しながら授業が進むことを想像した人もいるはずだ。しかし、中に出てくるのはこの2人に止まらないし、実際に語っているのは嶋田氏だ。だから、アドラーと老子が直接授業形式で語っているわけではない。要は、1つの事柄について、心理学的な見方と哲学的な見方を別々のものとして扱わず、統合してとらえていくと、心の中身が見えてきて、根本から解決しやすくなるということを意味していたのだ。

■無理にポジティブにしなくてもいい

 世の中ではポジティブシンキングをよしとする傾向があるが、この本では無理にポジティブに考える必要はないといっている。人は誰もがポジティブな面とネガティブな面を持っていて、バランスを取りながら生きている。だから、辛いときに無理やりポジティブになろうとしなくても、ネガティブになりすぎたら自然とポジティブな方向に向かう。そもそも「がんばる」というのは自然に逆らうことだから、時には自然な反応として、逃げることも、あきらめることもあっていい。ただし、逃げたりあきらめたりしながらも、物事の本質はきちんと見極め、失敗を繰り返さないように学ばなければならない 。

■人のためになりたければ自分のために生きる

 誰かのために生きるというと自己犠牲をイメージするかもしれない。しかし、仏教用語の「自利利他」もアドラー心理学の「他者貢献」も単なる自己犠牲ではない。「自利」は自分の利益のために動くことだから自分が優先、一方「利他」は他人の利益のために努力することだから他人が優先。この相反する言葉が対になっているため、誰かのための自己犠牲だととらえられてしまう。しかし、自分がこうしたいと思ってやったことであれば、かなりの確率で他人のためにもなる。だから、無理して他人のためだけを考えて生きる必要はない。

■相反するものが見えなかったものを浮き彫りにする

 身の回りには相反するものがたくさんある。例えば、光と影や強と弱、成功と失敗など。老子は「柔弱勝剛強」という言葉で、本当に強くなりたければ弱さを知るように諭した。それは、弱い人や負けた人にしか見えない世界があるからだ。それを知ったうえで強くなり、勝負にも勝てるようになれば、そう簡単には負けなくなる。

 心理学と哲学も別の学問という意味で、どっちが正しいかでもめることがある。しかし、切り口や答えが異なっていても行きつくところは同じ物事の本質だ。本来相反するもの同士を混ぜ合わせたらお互いが打ち消し合ってしまうところだが、本質を求める学問同士のコラボ。わかりやすさが2倍以上になっていた。

文=大石みずき

最終更新:9/29(木) 6:30

ダ・ヴィンチニュース

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