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尾崎世界観の創作風景に迫る:「僕の歌詞って全て生きてることへの言い訳」

ローリングストーン日本版 9/29(木) 17:00配信

一見して、赤裸々で辛辣な言葉も多い。しかし、その奥にはさらに隠された意図がある。クリープハイプ、尾崎世界観の紡ぐ歌詞は多様なメタファーに溢れ、深く心をえぐられる。巧みに言葉を操る彼の創作風景に迫った。

【写真あり】尾崎世界観の創作風景に迫る:「僕の歌詞って全て生きてることへの言い訳」

―携帯で歌詞を書いてるんですね。

昔からですね。前はノートに書いていたんですが、字が汚すぎて書く気がしなくなってしまって(笑)。漢字もあまり知らないからスッと書けなくて、その間に思いついた言葉が流れて行ってしまう気がして。携帯だときれいに並ぶじゃないですか。文字の大きさも改行した時の間隔も一緒なのでリズムが作りやすくて。言葉をリズムで捉えているので、リズムで書くと、読んだ時にも伝わりやすいんです。

―携帯で書くと言葉が記号化されて自分のものじゃない気がしません? 

毒っ気のある言葉って、相手の体内に入らないと意味がないじゃないですか。その毒を忍び込ませる意味でもサラッとした文体にしたくて。携帯で作るとやりやすいんです。手書きだと自分の怨念も入って重すぎると思っていて。あと手で書くとそれだけで満足してしまう部分もあって。無機質に打ち込んで出てくる言葉・・・そういう空しい気持ちが結構好きで。そのうえで強い言葉を書くのは面白いですね。

―『傷つける』は2012年の作品ですね。

一緒に作品を作ってきた松居大悟がやる舞台のための曲を頼まれて書いたんですが、歌詞が間に合わなくて。当時は警備員のバイトをしていて、その研修に書くものを持たずに行ってしまって。でも知らないおじさんに貸してくれって言えなくて。休憩時間に歌詞を考えていたんですが、ふとボールペンをテーマにしよう、と。かすんだり、滲んじだり、自分の気持ちを上手く伝えられないのと似てるなって。結局、それをメモしたくて隣のおじさんにボールペンを借りました(笑)

尾崎世界観『歌詞は必ず家で寝転がって書いてる』

―携帯で書いたのに、便箋なんて言葉も。

歌詞は必ず家で寝転がって書いてるんです。ネットニュースとかを見ながら。ちょっと書けたらニュースを見て・・・そういう、作品と、それとかけ離れたものの振り幅の中で書いているんです。それに携帯って白ホリのスタジオみたいなもので余計なものがなんにもない。だからこそ、何でも書ける。それで"便箋"のような言葉も出てくるんです。

―今、この歌詞を読んで何を感じますか?

情けない男の唄ですよね。全部が言い訳で。でも僕の歌詞って全て生きてることへの言い訳なんです。情けないことをしても歌詞にしたら逃げられるっていう。結局、自分の中のゴミみたいなものが外に出ているんです。それを聴いて慰められたりしてる。心の再利用とでも言うのでしょうか。

Sekaikan Ozaki
尾崎世界観 〇 1984年、東京都生まれ。2001年に結成したクリープハイプのヴォーカリスト。2012年にメジャーデビュー。デビューシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」から3作連続でオリコン・ウィークリー・チャートTOP10入りを果たし、10代、20代から絶大な人気を博している。3月23日に9枚目となるシングル「破花」を発売。
http://www.creephyp.com/

ローリングストーン日本版 アーカイブインタビュー/2016年8月号掲載

Joe Yokomizo

最終更新:9/29(木) 17:00

ローリングストーン日本版

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