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パールハーバー並みに大きかった中国の人工島基地

JBpress 9/29(木) 6:15配信

 「南シナ海の大部分が中国の“主権的領域”である」とする「九段線」(本コラム2016年7月21日「仲裁裁判所の裁定に反撃する中国の『情報戦』の中身」参照)は、ハーグの国際仲裁裁判所によって「国際法的には認められない」と裁定された。だが、この裁定によって、ますます国際的にその名が浸透してしまっている感が否めない。

■ 一笑に伏せなくなった“怪地図”

 中国では南シナ海の九段線にとどまらず太平洋の広大な海域をも中国の“主権的領域”であるとする境界線が引かれた世界地図が出回っているという。この世界地図が実際に中国国内でどの程度浸透しているかは分からない。しかし、インターネットを通して国際社会に向けて発信されていることは確かである。

 この種の“怪地図”はこれまでにも繰り返し登場しており、かつては米軍やシンクタンクの中国専門家たちの多くはまともに相手にしなかった。しかしながら、今回は少なからぬ人々が問題視しており、議論が続いている。

 差し当たって中国の覇権がこの地図の通り実現するとは考えられていないものの、「中国の戯言」として一笑に付している段階は過ぎ去ったと考えねばならなくなった。

■ 人工島の軍事的価値を軽視する“主流派”陣営

 もっとも、現在進行中の中国による南シナ海(九段線内部領域)での覇権確保作業に関しても、対中専門家たちの間での評価、そして対応構想が一致しているわけではない。

 どちらかというとオバマ政権に近い軍首脳や“大手”シンクタンクの論調などの多くは、中国が完成を急いでいる南沙諸島人工島基地群を含めて人民解放軍の南シナ海覇権確立能力に関して、「空母打撃群を擁する米海洋戦力にとって、まだ必要以上に脅威論を振りかざす必要はない」といったスタンスである。

 これに対して、直接中国戦力と対峙する責を負っている第一線に近い戦略家や、より柔軟な戦略眼を持つ(これまでの戦略に拘泥しない)研究者などの多くは、アメリカ軍の介入に対抗すべく構築された中国A2/AD能力(接近阻止領域拒否戦略とそれを実施するための海洋戦力)は「巷で思われているよりも、より強力で効果的である」と考えている。

 このような中国A2/AD能力に対する評価の違いに加えて、中国人民解放軍に対する基本的スタンスも「関与(取り込み)」政策と「抑制(封じ込め)」政策とに分かれている。そのため、対中戦略の基本方針はますます混沌としている。

 オバマ政権下では“主流”ともいえる関与陣営が、過度な脅威論に慎重な姿勢をとるのは論理的に自然である。一方の抑制陣営が、中国のA2/AD能力を重大なる脅威であり、ますます脅威が増大しつつあると認識する傾向が強いのは言うまでもない。

 ただし、人民解放軍のA2/AD能力に対する評価軸と対中軍事政策に関する基本姿勢軸は単純には一致していないため、話はますます複雑になっているのだ。

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最終更新:9/29(木) 6:15

JBpress

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