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今度は進展?ロシアがパイプライン敷設を再検討へ

JBpress 9/29(木) 6:10配信

 「サハリンから日本にパイプラインで天然ガスを供給する可能性を再検討することを決めた」

 サハリンでのLNG(液化天然ガス)基地増設を報じる記事(9月26日付日本経済新聞)の中で、ロシア国営のガスプロムのアレクサンドル・メドベージェフ副社長がこうコメントしていた。

 サハリンから日本への天然ガスパイプライン構想の実現を願っている筆者としては、「ガスプロムもついにその気になってくれたか」と感慨もひとしおである。

■ 前原氏の前言撤回で恥をかいたメドベージェフ氏

 日露間のパイプライン構想は過去20年の間何度も浮かんでは立ち消えとなっていた懸案であり、メドベージェフ氏自身も4年前に「ひどい目」に遭ったことがある。

 メドべージェフ氏は2012年5月民主党の前原誠司政調会長(当時)とモスクワ市内で会談した際、日本向けガスパイプラインの敷設を提案した(2012年5月3日付日本経済新聞)。ガスプロムの提案に対し、前原氏は「政府・与党として可能性を検討する用意がある」と前向きな発言をした。しかし前原氏は帰国後、「ロシア・ウラジオストクのLNG輸出基地の建設計画が優先する」として前言を撤回した(2012年6月30日付日本経済新聞)。

 前原氏が発言を変更した背景には、当時、ウラジオストクのLNG基地建設の事業参加に日本企業が積極的であったことが考えられる。

 メドベージェフ氏は、ウラジオストクのLNG輸出基地の建設計について「計画を撤回したわけではない」としながらも、優先順位が低くなったとしている(現在は日本側も事業採算性の点で消極的になっているようだ)。

 2012年にパイプラインを提案して日本側にけんもほろろに断られたメドベージェフ氏は、その後、パイプラインについて非常に消極的になったと言われている。そのメドベージェフ氏が、なぜ再びパイプライン構想に前向きになったのだろうか。

 メドべージェフ氏はパイプライン構想の可能性を再調査する理由として「日本の実業界や政界から何度も強い要請があった」としている。

 以前のコラム(「パイプラインは日ロの架け橋となるか?」)でロシアとのエネルギー協力拡大をテコに日露関係の早期改善を願う自民党の議員たちの取り組みを紹介した。筆者は、その熱意がメドベージェフ氏にも伝わったのだと確信している(ロシアでは「5月6日のソチでの日露首脳会談でプーチン大統領がパイプラインに言及した」との情報が広まっているようだ)。

 日本側としては、メドベージェフ氏が再び「恥をかく」ようなことはなんとしてでも避けなければならない。

■ 世界では天然ガス輸出の9割以上がパイプライン輸送

 ここでサハリンの天然ガス資源について簡単に説明したい。

 北海道の稚内から南端まで最短43キロメートルのサハリン島には、約600キロメートルの海岸沿いの浅い海底下に膨大な天然ガスが眠っている。宗谷海峡を挟んでいるが、ほとんど地続きと言ってよく、東京からの直線距離は沖縄より近い。国境を考えなければ、日本の国内資源と言っても過言ではない。

 サハリンの天然ガスは、1980年代から日本とロシアの共同事業によって発見された。天然ガスの可採埋蔵量は約2.4兆立方メートル。日本全体の天然ガス消費量の約24年分である(今年9月、ロシアメデイアはサハリン鉱区でサハリン1・2・3に加えさらに巨大なガス田が発見されたと報じた)。

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最終更新:9/29(木) 6:10

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