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クリントンの“顔芸”は戦略の一環だった! 大統領選テレビ討論会でもおおいに活用【微表情学】

HARBOR BUSINESS Online 9/29(木) 9:10配信

 みなさん、こんにちは。空気を読むを科学する研究所代表取締役の清水建二です。

 本日は、9月26日の夜(日本時間9月27日午前)に行われたアメリカ大統領選のテレビ討論会で見せたトランプ氏とクリントン氏の表情から学べることを考えてみたいと思います。

 テレビ討論会を観た多くの視聴者が直感的に感じたことは、不満のトランプ、余裕のクリントンという構図だったと思います。このイメージは、テレビの音声を消して、両氏の話している内容を聞かなかったとしても感じられてきたと思います。

 このトランプ・クリントン両氏から醸し出された対照的な空気は何だったのでしょうか?

 討論会全体を通して観られた最も特徴的な表情は、終始眉間にしわを寄せながら意見を述べていたトランプ氏の表情と、眉を時折上げ、笑顔で意見を述べていたクリントン氏の表情です。

 眉間のしわが発するイメージは、集中、堅苦しい、怖い、というものです。眉上げと笑顔が発するイメージは、興味・関心、そしてポジティブ感、というものです。

 これらのイメージを私たちは意識・無意識問わず抱きます。その理由は二つあります。

◆知らずのうちに相手の感情をもコピーしてしまう、フェイシャル・フィードバック

 一つに、私たちは目の前の人の表情を無意識のうちにマネしてしまうメカニズムを持っているからです。

 トランプ氏の眉間のしわを見ていると、知らず知らずのうちに、自分の眉間にも力がこもってきます。しかし、クリントン氏の眉上げと笑顔を見ていると、知らず知らずのうちに、自分の表情もリラックスし、口角が引き上がってきます。

 二つに、私たちは表情を作ることでその表情にあう感情が生み出されるフェイシャル・フィードバックというメカニズムを持っているからです。

 フェイシャル・フィードバックとは、楽しいから笑うというメカニズムでなく、笑うから楽しいというメカニズムです。私たちには両方向のメカニズムが備わっていることがわかっています。このメカニズムによって、眉間のしわは、集中や怒りを生じさせます。眉の引き上げと笑顔は、興味・関心度を引き上げ、嬉しい気持ちを生じさせます。

 この二つのメカニズムによって、眉間にしわを寄せたトランプ氏の表情を無意識的にマネしてしまう視聴者は、集中や怒りを感じやすい・感じる状態になるのです。同様のことがクリントン氏にも当てはまります。クリントン氏の表情を見ていると、クリントン氏の話に興味・関心が湧き、幸福な状態になるのです。

◆今回の討論会から学ぶものとは?

 確かに、慎重な話題を話すときや聞いている人に集中をして欲しい場合、トランプ氏の表情は有効です。しかし、今回のような討論中ずっと眉間にしわを寄せてプレゼンをしている様子は、視聴者を疲れさせてしまいます。それに比べ、クリントン氏の笑顔は、視聴者を良い気分にさせることが出来るのです。

 今回の討論会から学びたいことは、感情のメカニズムと準備をする大切さです。一つに、「相手は鏡」ということです。自分の表情は、意識・無意識問わず相手に伝わるのです(相手の表情も自分に伝わります)。自分が良い表情を持っていれば、相手も良い表情になります。

 次に、準備の大切さです。自分にとって大切なプレゼンほど、緊張し、頭がいっぱいいっぱいになります。そうすると表情はこわばり、眉間にしわがよってしまいます。頭でわかっていても、なかなか笑顔にはなれないものです。本番前に何度も準備をすることで緊張の程度をやわらげ、余裕を持ってプレゼンをすることが出来ます。予想される批判点も考慮しておくことで、さらなる余裕が生まれます。今回の討論の中でトランプ氏の批判を受けても、なお笑顔で受け答えていたクリントン氏の様子からは、相当にプレゼンの準備をしていたことが伺えます。CNNの調査によれば、この度の討論会ではクリントン氏に軍配が上がったようです。第二回、第三回の討論会で両氏がどのようなプレゼンを見せてくれるのか期待したいです。

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。また、政治家や芸能人の微表情を読んで心理分析するなど、メディア出演の実績も多数ある。著書に『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

<文/清水建二>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/29(木) 9:29

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