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点滴に筋弛緩剤を混入した仙台の事件とも酷似… 大口病院「点滴殺人」の謎【大量殺人事件の系譜】

週刊SPA! 9/29(木) 9:10配信

 相模原市の障害者施設で19人が殺害された事件から2か月。同じ神奈川県の横浜市にある病院で起きた「点滴殺人事件」もまた、大量殺人の様相を呈してきた。

◆横浜・点滴殺人事件(2016年)大量殺人事件の系譜~第9回~

 横浜市の大口病院で9月18日と20日、それぞれ88歳の男性患者が相次いで死亡。司法解剖の結果、点滴に界面活性剤が混入されたことによる中毒死だと判明した。警察は殺人事件と断定し特別捜査本部を設置、捜査を進めている。

 4階のナースステーションに保管されていた未使用の点滴50個のうち約10個には、ゴム栓の保護フィルムの封に穴が開いており、異物が混入された可能性がある。この点滴には、中毒死した2人の男性以外の患者の名前が記入されていたことから、他の入院患者を狙った無差別殺人の可能性も浮上した。

 今年7月1日以降、大口病院では48人の患者が死亡している。85床の病院としては、死亡者数は多いように感じられる。しかもこの48人は、中毒死した2人と同じ4階に入院していたという。

 特捜本部では、この48人の中にも異物混入による中毒死した患者が複数含まれていると推測しており、事件は一気に大量殺人へと発展するかもしれない。大口病院の高橋洋一院長は次のように、険しい表情で悔しさを滲ませた。

「終末期の患者を受け皿として、信頼と誇りを持ってこれまでやってきた。私たちが目指してきた医療が、このような形で壊されたことに、ショックと憤りしかない」

「死亡した2人とも、入院時から重篤な症状だったが、最期を静かに迎えさせてあげられなかった。誰がこんなことをしているのか。本当のことが知りたい」

 いったい誰が、何のために、どのようにして犯行を行ったのか。点滴は日付によって分けられ、ナースステーションに保管され、病院の関係者であれば誰でも触れることができる状態だった。死亡した2人の体内から検出された界面活性剤は、4階のナースステーションにある消毒液に含まれるものと同じ殺菌作用の強いタイプ。無施錠の場所で保管されていた点滴に、何者かが注射針で異物を混入させたものと見られている。

 地域に根ざし、高齢者を対象とした医療機関として、終末期の患者を積極的にケアしてきた大口病院。地元での評判もいい。だが、ミステリー小説のような今回の出来事に、病院内部の疑惑も浮かび上がる。高橋院長は苦しい胸の内をこう明かす。

「内部の人を信じたいんですが、そういうこと言ってる場合じゃありませんからね。内部(犯行)の可能性も否定できません」

 薬物や毒物など、異物などを混入させた殺人事件は、これまでも発生している。2000年に仙台市のクリニックで、患者の点滴に筋弛緩剤が混入された「筋弛緩剤点滴事件」が起きた。1件の殺人と4件の殺人未遂の罪で、クリニックに勤務していた准看護師が逮捕され、無期懲役が確定した。裁判で被告は一貫して無罪を主張、現在、再審請求中。

 夏祭りのカレーにヒ素が混入された「和歌山カレー事件」(1998年)では、カレーを食べた4人が死亡した。確たる物証がないまま近くの主婦が逮捕されたが、死刑が確定。やはり再審を請求している。ほかにも、トリカブト保険金殺人事件(1986年)、本庄保険金殺人事件(1998年)、名張毒ぶどう酒事件(1961年)、帝銀事件(1948年)などがある。

 これらの事件では、毒物が犯行に用いられた。劇薬や麻薬などの管理は、施錠するなどが義務づけられているが、今回の事件の界面活性剤が含まれる消毒液などは、無施錠でどこにでも置いてあるという。

 複数の患者を狙った無差別の大量殺人の可能性が大きくなった今回の事件。事件が発覚しなければ、被害はさらに拡大していたことも考えられる。犯人の狙いは何だったのか。なぜ命を奪わなければならなかったのか。

 まだ謎多きこの事件、真相解明が待たれる。 <取材・文/青柳雄介>

日刊SPA!

最終更新:9/29(木) 16:17

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