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元鉄道員が告白、人身事故の凄惨な現場と鼻に残るアノ臭い「どうせなら別の場所で」

週刊女性PRIME 9/30(金) 7:00配信

 鉄道業界の隠語に“マグロ”というのがある。いわゆる人身事故のことだ。

 現在では、列車衝突のような鉄道事故は稀だが、人身事故は日常茶飯事で、鉄道で亡くなる人は後を絶たない。

 盲導犬を連れた会社員がホームから転落し、進入してきた銀座線にはねられて死亡(2016年8月15日発生)。人身事故には、視覚障害者が被害者になるケースも少なくない。この事故が示すように、特に視覚障害者にとって、鉄道は必ずしも安全ではないのだ。

 一方で、人身事故で圧倒的に多いのは飛び込み自殺である。自殺の場合、鉄道会社は完全に“被害者”という立場で、鉄道マンたちは忌々しい思いを込めて“マグロ”と呼ぶ。

「どうせ死ぬなら別の場所でやってくれよ」

 これが彼らの本音だ。

 国土交通省の資料(2010年3月)によれば、首都圏で発生した輸送トラブルのうち、自殺による影響額は平均8900万円と試算された。しかも、これは影響が1時間未満だったものだけを対象としている。

 この金額は、鉄道会社の被害額ではなく、社会への影響を示す金額だが、その迷惑の大きさがあらわれている。

「XX時XX分頃、○○線、△△駅~□□駅間にて人身事故発生・・・」

 この一斉放送が流れると、鉄道の各現場は戦場と化す。乗客にも多大な迷惑がかかるが、鉄道マンたちも大変な状況になるのだ。ラッシュ時であれば、なおさらである。

 駅では、続々と人が集まるが、乗客を運ぶ電車が来ない。乗務中の運転士や車掌は、満員電車に耐える乗客とともに、車内に閉じ込められる。苛立ちを募らせる乗客の中、鉄道マンたちは恐怖すら感じるのだ。

 時間に厳密である鉄道は、それが乱れると大混乱になる。乗務員の勤務や車両の検査予定も狂うため、放っておくと、延々と乗務を続ける乗務員が出るし、必要な検査ができなくなる車両も出る。

 つまり、遅延によるダイヤの混乱だけでなく、乗務員や車両の運用も混乱するのだ。

 この混乱の中で、指令と検修現場、乗務員区との間では怒号が飛び交う。お互い、自分の担当部分を早く平常化させたいため遠慮はないし、悪習だが、鉄道の現場では声が大きい人の意見の方が通りやすい。

 しかし、人身事故でもっとも辛い思いをするのは、自殺の現場にいる鉄道マンである。

 鉄道は、ブレーキをかけても急には止まれない。様子のおかしい人がホームにいても、嫌な予感がしても、運転士は電車を止められないのだ。自殺者が電車進入の直前に飛び込むと、頭が前面ガラスに激突し、運転士の眼前で凄惨な死を遂げる。運転士が受けるショックは計り知れない。

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最終更新:10/27(木) 19:39

週刊女性PRIME

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