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グーグルが狙うスマホの次のプラットフォーム

Wedge 9/30(金) 12:20配信

 今年の3月に行われたグーグル傘下のディープマインドが開発した囲碁ソフトウェア(AlphaGo)と、現在世界最高の棋士と言われるイ・セドル九段との対局で、AlphaGoが4勝1敗で勝利したことが大きな話題となった。AlphaGoは、いわゆるAI(人工知能)だが、グーグルはこの分野への投資を優先事項としている。Eメールの並べ替えや、音声による検索や翻訳など、すでに多くのプロダクトにAIの技術を利用しているという。

 これまでのコンピュータのソフトウェアは、人間が考えたルール(アルゴリズム)が記述されたプログラムだった。入力された情報をルールに基づいて認識して分析し、ルールによって処理した結果を出力する。それは人間が想定できない事柄や、ルールで記述しきれない複雑な事柄を処理することが難しかった。それに対し最新のAIは、与えられた大量の情報の関係性を学習(機械学習)することによって、新たな情報を認識・分析して最適化・推論するためのルール自体を考え出す。

 ムーアの法則に従ってコンピュータのパワーが指数関数的に成長し、ソーシャルネットの発達によって獲得できるようになったビックデータから自律的に学習を重ねていくことで、AIは人間の関与がなくても進化していくことが可能になった。AlphaGoの勝利で、ディープラーニング(深層学習)という言葉も一般に知られるようになった。

 スマートフォン市場の成長が鈍化しているが、グーグルに限らずアマゾン、インテル、マイクロソフト、アップル、フェイスブックなどのITの巨人達は、AIを、次に市場に大きな変化をもたらすものと捉えているようで、関連する企業の買収や人材の確保に血眼になっている。

最初の戦いが始まった

 グーグルは5月に開催した開発者向けのイベントで、Homeという製品を発表した。これはパーソナルアシスタントと呼ばれる種類のデバイスで、リビングなどに置いて、家の中のネットワークに繋がった家電や照明などをコントロールすることができる。「オーケーグーグル」と話しかければ、スマートフォンのGoogleアプリと同じように質問や指示に音声で応答してくれる。

 これは、アマゾンが昨年から米国で販売しているEchoという製品と完全に競合する。Echoシリーズはこれまでに300万台販売されたと推定されており、グーグルはその成功を追う形となる。EchoにはEcho Dotという小型のモデルがあるが、10月にはその最新版が49.99ドルに(89.99ドルから)値下げされて、イギリスとドイツでもEchoと共に販売が開始される。

 Echoはアマゾンが提供するEコマースと連携するという強みを持っているが、それぞれAssistant(グーグル)とAlexa(アマゾン)と呼ばれる「人工知能」の出来や、連携する他社の製品やサービスの数などが勝負の鍵となる。

 グーグルは、Googleアカウントでログインしているユーザの予定表や連絡先を把握しており、Assistantは検索やメールの履歴などから推論した最適な答えを返すことが可能だろう。さらに、検索のために収集した膨大な情報から学習できることもAssistantの大きな強みだ。今やグーグルは、AIのために検索サービスを提供していると言ってもいいかもしれない。

 アップルはSiriという音声認識型のパーソナルアシスタントを、iPhoneやiPadで提供している。フェイスブックはMessenger(アプリ)で、テキストベースの対話型のアシスタントサービスを提供している。

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最終更新:10/3(月) 9:51

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