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マック・ミラーが語る、新作と噂の恋人アリアナ・グランデとのコラボ

ローリングストーン日本版 9/30(金) 18:00配信

マック・ミラーが、ロマンティックな最新作『The Divine Feminine』と噂の恋人アリアナ・グランデについて語る。

【写真あり】マック・ミラーが語る、新作と噂の恋人アリアナ・グランデとのコラボ

マック・ミラーは、過去5年間に発表したアルバムを一心に聴けば、彼の人生における感情の変動に気付くことができると言う。「俺の音楽が実際の生活での感情に基づいてるって、俺は強く信じてる。俺が味わう気持ちは、音楽にも表れるんだ」。こう話す米ピッツバーグ出身の24歳のラッパーは、これまでのアルバムで、生意気な郊外のティーンエイジャー(『Blue Slide Park』)から、気難しく意気消沈したクリエイター(『Watching Movies With the Sound Off』)、薬物で狂った奇人(『Faces』)、のりに乗ったサクセスストーリー(『GO:OD AM』)までもを表現してきた。
2015年、当時の恋人とブルックリンのアパートに引っ越したマックは、最も切り開かれた音楽のテーマの一つである"愛"を探求し始めた。「女の子に言い寄ったり、恋に落ちることだけを語ってるんじゃない」。現在、長年の友人であるアリアナ・グランデとの交際が噂されるマックは、 これまでの作品の中で最もジャズ的で音楽的な冒険をした、セクシーで洗練された最新作『The Divine Feminine』についてこう話す。「アルバムは、愛が君にどんな影響を与えるか、君の人生にどんな影響を与えるかについてなんだ」

当初、楽しむためのサイドプロジェクトとしてスタートした今作だったが、すぐにメインプロジェクトとなった。「今回は、プロセスのどの段階でも全力投球って感じ」。こうマックは、アリアナ・グランデ、ケンドリック・ラマー、そして快感なシングル『Dang!』のアンダーソン・パークといったアーティストとのコラボレーションが実現した最新作について話す。また長年、無所属のアーティストとして活動し、2014年にワーナー・ブラザースと数百万ドルの契約を結んだマックは、世間のイメージを気にするという段階を通り越したようだ。「俺ってすげぇ若いんだってことに気付いたんだ」。こう話すマックは、他にもヒップホップのジャンルの境界線が拡大していること、自らのボスになるということを学んだこと、アリアナ・グランデがマイケル・ジャクソンを思い出させることについて語ってくれた。「急いで"みんな!俺はこれができるんだ!"ってみんなに叫ぶ必要なんてないんだ。残りの人生でも同じことをするんだったら、俺は死を選ぶね」
--{マック・ミラー インタヴュー(2)}--
─キャリアの中でどうして今、愛がテーマのアルバムを?

最近、クエスチョン・アンド・アンサーのセッションをやったんだけど、悲観的な曲をもうあまり書いてないことについて話したんだ。そういう感情は、もう扱ってきたから。自分が100%探求したい感情を扱ったんだ。ラヴソングを本当にやってみたいって思ったのは、そういう曲作りが楽しいから。EPを作るっていうアイデアから始まったんだ。ほら、ラヴソングを何曲か作って、それで終わりにするって感じで。でも、コンセプトとして、もっと大きなものになっていったわけ。実を言うと、多くの曲が俺の生活から愛を奪いあげなきゃいけなかった時に思いついたもので、俺が必要としたこと、俺が愛をどう見ていたかってことが表現されてるんだ。ただラヴストーリーを語るんじゃなくてね。もっと深いんだ。

─愛は、いつもおとぎ話とは限らないですからね。

その通りだよ。「君にマジで恋してる!」って曲が10曲っていうふうじゃないんだ。そうじゃなくて、その感情と、それが君にどんな影響を与えるかなんだ。女の子に言い寄ったり、恋に落ちることだけを語ってるんじゃない。アルバムは、愛が君にどんな影響を与えるか、君の人生にどんな影響を与えるかについてなんだ。

─サウンドに注目すると、コンセプト・アルバムなのかなと。確かな感情とグルーヴがありますよね。

それが何か分かる?このアルバムの制作責任者として、自分をマジで信じたんだよね。ミュージシャンとしての自分を信じることは、俺にとっての大きなステップだった。今までは、低く自己評価してしまうくらい凄いアーティストやミュージシャンに囲まれてることが多かったから。今作での俺は、「誰がこれをして、誰があれをして、誰が俺よりもピアノが上手いとか関係なく、座って曲を作るぞ。1秒も休む気はないぞ」って感じだったんだ。何回もマスタリングしたのは、俺たちにとって初めてのことだったんだ。俺が求めてるサウンドに100%なるように、全部のミキシング・セッションに参加してね。俺の中で、それが一番最高な制作過程だった。あんな感情とかストーリーがこもったものを扱うなら、特にね。

─ワーナー・ブラザースは、音楽のインスピレーションに従わせてくれたようですね。

そうそう!俺には、A&Rがついてないんだ。そんな人を知る必要もなくてさ。それこそ、このプロジェクトの素晴らしい点なんだ。ワーナーみたいな会社に、「やぁ。愛がテーマのプロジェクトに取り掛かってて、歌うパートたくさん必要なんだ。かなりインストゥルメンタルで、今までの作品とは全く違うサウンドになってる」って突撃してさ。そしたらワーナーは、「最高だね!」って。「この人やあの人と手を組むべきだと思う」とか、そんなことは言わないんだ。全くね。俺のことを信用してくれててさ。おかげで、楽しませてもらってる。制作プロジェクトって、楽しいんだ。俺は、音楽を作ることを楽しんでる。俺が楽しんでやってることなんだ。
--{マック・ミラー インタヴュー(3)}--
─EP『Faces』の『Grand Finale』といった悲観的な曲から、今作の『Cinderella』のような穏やかな愛を歌った曲というように、大きな方向転換をしてますよね。

俺の音楽が実際の生活での感情に基づいてるって、俺は強く信じてる。俺が味わう気持ちは、音楽にも表れるんだ。人生のジェットコースターに乗って、音楽を作り続けてる。だから、俺の音楽もその感情に基づいてるんだ。でも、ADDなんだよね。何をするか、どんな音楽を作るか決めるのに苦労してる。自分でも分からなくてね。ただ、生活のために音楽を作ってるんだ。決断できないね。退屈っていう理由だけで、ジャズ・アルバムを作ったこともあるんだ。「待てよ。インスピレーションを失ってる。50歳のラウンジ歌手に変身しようじゃないか」って感じで。才能があって、アーティストとして、いろんなジャンルをかじることができることを幸せに思ってる。まぁ、全部ちゃんとしたものだけど。

─ファンもついてきてますね。

幸運なことに、ファンはまだ俺から離れていってないんだ。ちょっとした運なのかもしれないね。そのことに関して上手くやれるタイプなのかもしれない。分からない。もしかしたら、俺が「このアルバムはポルカのアルバムだ」とか言い始めたら、ファンは「何だって?」ってなるかもね。でも、ファンはそうならないと俺は思ってる。「やっと、ポルカのアルバムを作ってるのか。それこそ、本物の君だよ!」ってきっとなるんじゃないかな。音楽とサウンドを試すことを楽しんでて、じっとしてられないだけなんだ。快適ゾーンってのが見つけられなくて。一つのジャンルに絞ると、あまりにもビジネスって感じになるでしょ。そういうのは好きじゃないんだ。

─ヒップホップ界にとって、今が特にクリエイティヴな時代なのでしょうか?チャンス・ザ・ラッパーといったアーティストが、ヒップホップというジャンルの境界線を押し上げてる中で、昔に比べてサウンドを試す機会がかなり多くあるように思えるのですが。

絶え間なく進化することなんだよね。既に挑戦されたことだけに留まれない、クリエイティヴな人間がたくさんいるんだ。そこにはルールなんてない。音楽だから。今の状態がすごく良いと思ってる。そこに存在する精神と、境界線が押し上がってることが、すごく良いと思ってる。でもね、実際にはそこに境界線なんてないんだ。そういう風であるべきなんだよね。自分を信じて、自分が好きなことをやってる人がいて、そうすることでより大きなファン層を説得してるんだ。そういう人たちは、どうやってラジオで曲を流してもらえるかを考えるために、そこに座ってるんじゃない。自分が作れる一番の音楽を作る方法を考えるために、そこに座ってるんだ。今の状態に満足なんてしてないんだよね。俺自身の唯一の目標は、さらに進化し続けることだった。俺が望んでるのはそれだけ。まぁ、どうなるか見てみるだけさ。でも、自分がやっていることは、一番でいたいんだ。
--{マック・ミラー インタヴュー(4)}--
─人気が出てきた頃は、巧みに韻を踏むことが重要視されていた気がしますが、どうでしょう?

人気が出てきたのは、16歳の頃だったね。ラップのフォーラムに参加して、一番のラッパーになろうとしてたんだ。創造性のハードルを押し上げてる人たちも全員、このことに関心を持ってるってことを、頭に置いといてくれるかな。韻を軽視してるわけじゃない。そこには、それ以上のものがあることが分かってるだけなんだ。90年代は、誰かに対してラップして、それが十分に良かったら、契約って感じだった。今はほとんどの場合で、どんな音楽を作ってるか、何をやってるかだと思う。

─今作では、あなたもたくさん歌っていますが、『God Is Fair, Sexy, Nasty』のケンドリック・ラマーは、ラッパーというよりも、楽器やテクスチャー的な役割を果たしていますよね。

声ってね、いろんなことができるんだ。俺たちは、生涯を通じて音楽を作ってるわけでしょ。なんで全てに挑戦しないんだ?なんで自分の声でできることを無視しなきゃいけない?なんで自分に限界を設けないといけないんだ?馬鹿げてるぜ!俺は、普通の9時5時の仕事を選ばなかった。タイムカードを切る仕事を選ばなかった。でも俺は、自分に何ができるかを確かめることを選んだんだ。毎日、自分の声について新しい発見をしてるよ。

─アリアナ・グランデとコラボしたのは、ずいぶん前ですね。彼女の鮮烈なシングル『The Way』でコラボして、今回はその彼女が『My Favorite Part』に参加していますが、ファンが予想するようなポップな曲ではないですよね。

俺が彼女に連絡を取って、このアルバムに参加してほしいって伝えたんだ。ケンドリックの場合と同じだよね。ほら、俺とケンドリックのコラボって聞いたら、ケンドリックがラップしてるって思うでしょ。で、俺とアリアナのコラボって聞いたら、「あっ、『The Way』みたいな曲ってことか。ポップソングをやるわけね」って思うでしょ。でも違うんだ。言ったように、俗に言うアイデンティティがリストで挙げること以上に、人って有能でいろんなことができちゃうんだ。絵を描くためのキャンバスを彼女にあげたら、とても美しい絵を描いてくれるよ。彼女の歌声が活かされると思った曲で、やっぱりその通りだった。彼女、マイケル・ジャクソンみたいでさ、「わぁ!」って感じ。

―マック・ミラーに対する最大の誤解とは?

なんだと思う?俺は昔、自分が何なのか理解する中で迷子になってたんだ。何回もぶち当たった問題っていうのが、一枚のアルバムの中で俺の全てを見せようとしたことなんだ。今回初めて、「俺のこの一面こそが、このアルバムなんだから、とことんやってやる」って思ったんだよね。現段階で俺の認識が何かなんて、分かる人なんていないよね?正直言って、俺も今は分かってないんだ。なんというか、「あぁ、彼は金持ちの白人の子供」っていう間違いみたいなもの。「彼は薬物中毒者」っていうは君の考え方次第だけど(笑)。現段階で、俺はただ音楽で語りたいんだ。そうしたいんだよね。時間が経つにつれて、みんなにその考えが分かるかもしれないし、分からないかもしれない。でも、分かる必要はない。みんなは、聴くだけで良いんだ。

Translation by Miori Aien

DAN HYMAN

最終更新:9/30(金) 18:00

ローリングストーン日本版

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。