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「役に立たない助言」を言うヤツと、「頼られる先輩・上司」になる人はここが違う!

HARBOR BUSINESS Online 9/30(金) 16:20配信

 身に付けたいスキルを分解し、パーツスキルを反復演習する方式の「分解スキル・反復演習」を実施する中で、上司から受けた激励の助言を洗い出してもらったことがある。具体的な内容を挙げた人もいたが、圧倒的に多かったのが、「がんばれ」「ふんばれ」「頼むぞ」「期待している」という決まり文句だった。

 激励の決まり文句を言われて、どう感じたかを挙げてもらうと、「ただ、がんばれと言われても……」「どうやって、ふんばれというのか……」「親身なってもらっているとは思えない……」という意味の反応が返ってくる。

 それを他山の石として、今度は自分が激励の助言をする立場に立って、困難に直面している同僚や部下に対してどのようなコミュニケーションをとるか演習していくのだが、どのような言葉をかけてよいか思い浮かばずに、とっさに出てくるのは、やはり「がんばってみましょう……」という決まり文句になってしまうという光景に、よく直面する。

 読者のみなさんも、同じような経験をしたことがあるのではないだろうか。そして、もし、困難に直面している同僚や部下や後輩に対して、あるいは、家族に対して、「身に染みる助言ができればなあ」と思った経験のある方も多いに違いない。

 実は、分解スキル・反復演習の考え方を用いると、決まり文句ではない、相手が身に染みる助言を生み出すことができる。それも、フレーズを暗記する方法ではなく、相手の状況に応じた臨機応変なコミュニケーションが可能になるのだ。その方法を身に付けてみたいと思わないだろうか。

◆モチベーションエリアを見極めろ

 その方法とは、まずは、相手のモチベーションエリアを見極めるところから始める。人はそれぞれ自分のモチベーションが上がりやすい領域を持っている。ある人は(1)「目標達成」することにモチベーションが上がりやすい、他の人は(2)「自律裁量」に、別な人は(3)「地位権限」に意欲が高まりやすい。

 また別な人は、(4)「他者協力」することにやる気が高まりやすい、さらに、(5)「安定保障」に士気が高まる人も入れば、(6)「公私調和」が気にかかる人もいる。これらの(1)から(6)を、私はモチベーションエリアと称しており、さらに(1)から(3)を牽引志向、(4)から(6)を調和志向と呼んでいる。

 日頃の言動から観察して、この人は、「目標達成」にモチベーションが上がりやすい、「公私調和」にモチベーションエリアがある……ということを見当づけるのだ。例えば、「マイクロマネジメントされることが嫌いで、まかせてほしいというオーラを出している人」は「自律裁量」だと見当づけたり、「周りの人との関係に特に気を配っている人」は「他者協調」だと推察したりするのだ。

 もし、6つのモチベーションエリアのどれかに当てはめようとするのは、難しいと思ったら、「牽引志向」か「調和志向」かのどちらか、ということを考えるだけでもよい。その上で、そのモチベーションエリアに合った助言を考えるのだ。

◆タイプに合わない助言は逆効果

 モチベーションエリアに合った助言を考えるにあたっては、自分自身のモチベーションエリアと同じモチベーションエリアの人への助言を考えことから始めるとよい。自分のことは、他ならぬ自分自身が一番よくわかっている。自分はこう言われたら一番効く、こう助言されたらモチベーションが上がる、そういう助言を考えればよい。そうすれば、自分のモチベーションエリアの琴線に触れる助言ができるようになる。その上で、他のモチベーションエリアについても考えていくことがお勧めだ。

「目標達成」にモチベーションエリアがある人が、「マーケットが冷え込んでいて、超過達成できないから、やる気が上がらない」と困っているという事例がある。部下に配慮しなければならない、無理をさせてはいけないという固定観念で、「無理するな。ほどほどにしておけ」と助言をしたら、「目標達成」型の人からは、「馬鹿にするんじゃない」と反発を受けるに違いない。

「目標達成」型の人には、「別の切り口でターゲット市場を考えようか」と達成意欲を刺激することが役立つし、あるいは、「難しい局面こそ、達成できたら、ビジネスパーソンとしての冥利につきるのではないか」という投げかけも効果があることが、演習結果からわかっている。

◆「頼れるリーダー」になるために

「自律裁量」型の人が、「ルールが細部にわたるようになって、裁量の余地が少なくなり、やる気がでない」と悩んでいるという事例がある。「ルールなのだから従わなければなりません」と助言することは、正論ではあるかもしれないが、助言にはならない。「そのような助言をする人には、もう、相談しない」ということになりかねない。

「ルール改正の提案をしてみるかい」、「ルールに則った上で、工夫ができそうな領域を探してみないか」という、その人の自律的な検討に委ねるアドバイスこそ効果があるのだ。

「あの人は、頼りになる」、「○○さんの助言は、いつも、身に染みる」と言われる人は、モチベーションエリアという言葉や概念を使っていなくても、モチベーションエリアに合致した、モチベーションエリアの琴線の触れるアドバイスができる人だ。

 言い換えれば、相手の言動からモチベーションエリアを見極めて、自分に照らして、モチベーションエリアの琴線に触れる助言を考えるという、分解スキルを反復演習すれば、必ず、頼りにされるリーダーになれるのだ。

※「モチベーションエリアの琴線にふれる助言」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル29で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第17回】

<文/山口博>

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:10/3(月) 17:42

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