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皇室よりも跡継ぎに苦労している神社界「女性宮司タブー」――入江吉正(ジャーナリスト)

デイリー新潮 9/30(金) 12:35配信

 女性の神職もいる神社界にあって、女性の後継者を阻むタブーがある。なぜ彼女たちは資格があるのに宮司として認めてもらえなかったのか。天下り先を確保したい神社本庁の思惑と、後継者に悩む神社界の現状をジャーナリストの入江吉正氏がレポートする。

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 一昨年、「日本創成会議」は、少子化の影響で2040年には、全国の自治体の約半分が消滅するという予測を発表した。

 このニュースは日本中にショックを与えたが、宗教界も例外ではない。國學院大學の石井研士教授はこれを受けて、将来、約35%の宗教法人が存続困難という概算を公表。それによると、「神社本庁」傘下の神社でも41%もの社が消滅するというのだ。

 日本には、大は伊勢神宮から横丁の“お稲荷様”のような小さな祠まで含めると神社が20万近くあると言われている。

 そのうち、比較的大きな「神社本庁」傘下の神社は約7万9000社。神社の代表者である宮司の数は約1万300人で、これが、そのまま宮司が常駐している神社数となる。残り約6万8700社は宮司がいないことになるが、現状では1人の宮司が複数の神職を兼務しており、なかには数十の“無人神社”を束ねる宮司もいるのが実態だ。

 近年では「パワースポット」や「御朱印」ブームもあって、ファッション誌などで紹介される有名神社には若い女性たちがこぞって訪れる。その一方、宮司もいない、さびれた神社がじわじわと増えており、神の世界にも「格差」が広まっているのだ。

■女性を任命することはない

 ここで「神社本庁」について説明しておこう。この組織は、伊勢神宮を“本宗(ほんそう)”とし、全国の傘下神社を包括する宗教法人である。敗戦の翌年、国家神道解体を推し進める占領軍から神社を守るため、全国の有力神社が「神社連盟」に参加するという形でスタートした。

 その下には都道府県ごとの神社を管轄する「神社庁」が置かれ、設立から70年近く経った今では、傘下神社(被包括神社)の宮司の人事権まで握るほどの力を持っている。

 ちなみに、靖国神社、日光東照宮、伏見稲荷大社などは、その成り立ちなどから「単立神社」と呼ばれ、神社本庁の傘下ではない。明治神宮は04年、いったん離脱したが、後に復帰している。

 堅苦しいように見える神社の世界だが、宮司は「女人禁制」ではない。

 神社本庁の規則でも神職(註・巫女のことではない)に性別はなく、最近では「女子神職会」という親睦団体もある。実際、その地域で最も格の高い「一の宮」と言われる神社に、女性宮司が就任しているケースもあるのだが、

「それでも、大きな神社や社格の高い神社では、代々宮司を務めてきた家系でも女性宮司の就任が認められないケースが後を絶たないのです」

 とは、首都圏の大きな神社で神職を務める関係者だ。

「とくに天皇家と近い“勅祭社”において、女性が後継者になれることはまずありません。それも神社本庁が強引に介入して、トラブルを引き起こすケースもあるのです」

 女性進出が当たり前の世の中で、神社界の奥にどんなタブーがあるのだろうか。たとえば、九州の名門神社で起きたケースを見てみよう。

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最終更新:9/30(金) 12:35

デイリー新潮

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