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キミはアランドラ・ブレイズを知っているか?――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第191回(1995年編)

週刊SPA! 9/30(金) 9:20配信

 WWE世界女子王者アランドラ・ブレイズというよりは、日本のファンにとってはメドゥーサといったほうがはるかにわかりやすい。メドゥーサのスペルはMadusa――正確な発音はマドゥーサ――で、“メイド・イン・USA”と“アメリカの狂気madness”というふたつの意味がこめられているという。アランドラ・ブレイズというキャラクターは、メドゥーサが1993年12月から1995年12月の2年間だけ演じた“仮の姿”だった。

 そのプロフィルについても諸説がある。デビュー当時は1963年生まれということになっていたが、ある時期からそれが1964年生まれに変更された。

 出身地はイタリア・ミランとミネソタ州ミネアポリスのふたつの情報がつねに併用されてきた。本名はデブラ・マチェリ(日本でのカタカナ表記はミッシェリ)だが、出生時の名はデブラ・ロウェンドウスキーだったとするデータもある。

 父親はイタリア人、母親はパトワトミ・インディアンの血をひく黒髪のネイティブ・アメリカンだが、メドゥーサ自身はネイティブ・アメリカン的ではないブロンドの髪といわゆる白人的な容姿で生まれた。ミネアポリスのロビンズデール・ハイスクールを卒業後、老人ホームで働きながらモデルの仕事をしていたところをエディ・シャーキーにスカウトされてプロレスラーになったというのが定説だが、ハリウッド映画のスタントパーソンをめざしていたときに知人からシャーキーを紹介されたという説もある。

 エディ・シャーキーはロード・ウォリアーズ、リック・ルード、クラッシャー・クルシチェフ(のちのデモリッション・クラッシュ)、ニキタ・コロフ、トム・ジンクらを育てた名コーチで、メドゥーサはウォリアーズらの後輩ということになる。

 1987年、ミネアポリスのインディー団体PWAでデビューし、同年、AWAと契約後、キャンディ・デバインを下しAWA世界女子王座を獲得。AWA在籍時代はカート・ヘニング、バッド・カンパニー(パット・タナカ&ポール・ダイヤモンド)らのマネジャーとしても活躍した。

 全日本女子プロレスの――ポスト・クラッシュ・ギャルズ路線の――長期滞在型外国人選手として1989年1月に来日し、東京・目黒に2年間在住。CD、イメージ・ビデオ、写真集などがプロデュースされたほか、テレビ東京の深夜番組がメドゥーサのドキュメンタリー番組を制作した。

 また、作家の故・井田真木子さんが著書『プロレス少女伝説』のなかの1章でメドゥーサ(井田さんはメデューサと表記した)の半生を描き、この作品が大宅荘一ノンフィクション賞を受賞した。いろいろな意味で強運の持ち主なのだろう。

 クラッシュ・ギャルズの大ブームが一段落した1980年代の終わりから女子プロ団体対抗戦が社会現象となった1990年代半ばのちょうどまんなかの“空白の時代”を生きた“ビッグ・イン・ジャパン”のスーパースターだった。

 1991年にアメリカに帰国後、WCWと契約。リック・ルードのマネジャーとして新日本プロレスの“G1クライマックス”(1992年)に来日したこともあった。当時からアメリカでは「メドゥーサは日本ではスーパースター」というコンセンサスができあがり、これがアメリカ国内でのメドゥーサの商品価値を高めた。アスリートとしての身体能力そのものよりもスターっぽい雰囲気で観客を魅了するタイプのレスラーだった。

 WWEとは1993年10月に契約。メドゥーサ自身はメドゥーサというリングネームにこだわったが、ビンス・マクマホンはタレント自身とそのエージェント(弁護士)が版権を保有・管理するリングネームの使用を認めず、アランドラ・ブレイズというまったく新しいキャラクター・ネームが考案された。

 WWEはA・ブレイズのデビューと同時にそれまで空位となっていたWWE世界女子王座を復活させ、新王者決定トーナメントを開催し、1993年12月、トーナメント決勝戦でハイディ・リー・モーガンを下したA・ブレイズが同王座を手にした。

 新チャンピオンとなったA・ブレイズは王座防衛戦のための“定番”の対戦相手としてブル中野を日本からブッキング。A・ブレイズ対ブルのタイトルマッチ・シリーズが全米ツアーをまわったあと、東京ドームのリングでブルがA・ブレイズを退け同王座を獲得(1994年11月20日)。それから半年後、こんどはニューヨークでA・ブレイズがブルを倒して王座奪回に成功した(1995年4月3日)。

 メドゥーサ、というよりもアランドラ・ブレイズは1995年11月にWWEを退団。翌12月にライバル団体WCWと電撃契約し、“マンデー・ナイトロ”の番組内でWWE世界女子王座のチャンピオンベルトをゴミ箱に捨て、関係者を驚かせた。WWE“ロウ”対WCW“ナイトロ”の月曜TVウォーズのプロローグにおいてメドゥーサは重要な役割を果たしたのだった。(つづく)

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

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最終更新:9/30(金) 9:20

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