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「葬儀代が払えないので親の遺体を放置した」報道に疑問。どんなに貧乏でも葬儀はできる

週刊SPA! 9/30(金) 16:20配信

 意外と知らない通夜やお葬式でのマナー、業界の裏事情を綴った今、注目のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」。「ライブドアブログ OF THE YEAR 2015」にも選ばれた同サイトの管理人・赤城啓昭氏に聞いた、恥をかかない今のうちに知っておきたいお葬式の常識とは――。人気連載の第10回をお届けします。

 「考える葬儀屋さんのブログ」管理人の赤城啓昭と申します。

 亡くなった親の遺体をそのまま放置した、もしくはどこかに捨てたというニュースを毎月のように目にするようになりました。捕まった容疑者の多くがこう言います。

 「葬儀代が払えないので遺体を放置した」

 本当でしょうか? 確かに初期の警察の取り調べに対してはそう答えたのでしょう。しかし、報道をよく読むと見出しには「葬儀代払えず親の遺体を遺棄」とあるのに、文中では「容疑者は親の死後も年金を不正に受給していた」と書かれていることよくあります。この「親の年金を不正受給するため」が親の遺体を遺棄した本当の理由ではないでしょうか?

◆親の年金をアテにする悪いヤツら

 高齢化したニートの中には親が受け取っている年金収入を当てにしている人がいるという話を聞きます。そういう人は親が亡くなってしまうと当然、親がもらっていた年金を受け取ることができなくなってしまいます。

 親のお葬式を行うと当然、亡くなったことがばれてしまうので、どうしても親の遺体をそのままにせざるを得なかった、というケースが多いのではないでしょうか。そうなると「葬儀代が払えないので遺体を放置した」というのは苦しまぎれの嘘ということになります。

 もし容疑者に「じゃあ、葬式にいくらかかると思ったの?」と尋ねたら、おそらくちゃんと答えられないでしょう。

 ここ数年、こういったセンセーショナルな報道が繰り返されていますが、その結果、貧困層の読者の中には、親の遺体を遺棄しなければいけないほど葬式ってお金がかかるんだと誤解する人がふえているのではないでしょうか。このことを私は懸念しています。

 では、貧困化が加速する現在、十分なたくわえがない人はどうやって親を見送ればいいのでしょう?

◆火葬だけなら15万円以下の業者も

 結論から申し上げますと、十分なたくわえがなくても親を見送ることは可能です。

 みなさん、葬儀費用が実態よりもかかると思い込んでしまっています。確かに、式場を借りてお坊さんを呼んで、となるとそれなりに費用がかかります。100万円を超えることはザラです。

 しかし、そこまで望まないなら、儀式的なことは行わず、とりあえず火葬だけを行う直葬(ちょくそう)という方法があります。たとえば生活保護を受けているような本当に貧しい方が亡くなった場合なら、火葬のみをおこなうだけの費用が自治体から支給されます。

 もし全額自分で負担する場合も、火葬だけを行うなら格安の葬儀業者であれば、15万円以下で行うことが可能です。さらに故人が国民健康保険に加入していれば、自治体により異なりますが葬祭費として3~5万円程度をもらえます。

◆なかには3万円でお経も

 また、いろいろ条件がありますが、故人が国民年金加入者の場合は「死亡一時金」がもらえます。ちなみに、葬祭費も死亡一時金も自分から手続きしないともらえません。この仕組みを知らないで損をしている人も多いでしょう。

 このように火葬だけなら決して「払えない」金額ではないはずです。

 火葬だけでは寂しいと感じる方で、なおかつ少し予算に余裕があるようならこんな方法はいかがでしょうか。火葬の際、火葬炉前にお坊さんを呼んで5分ほどお経をあげてもらうのです。葬儀屋さんに探してもらえば3万円くらいで呼べるはずです。

 死体遺棄は3年以下の罰則です。何より良心の呵責に耐えられないでしょう。正しい知識が広まって、悔いのないお別れができることを望みます。

<文/赤城啓昭>

【赤城啓昭】

葬儀社に15年以上勤務し、業界内部を知り尽くしたその道のプロ。業務内容はお葬式の担当と葬儀・葬儀業界の分析。Twitterアカウントは@kangaerusougiya。「ライブドアブログ OF THE YEAR 2015」にも選ばれ、月間45万PVを突破した「考える葬儀屋さんのブログ」も日々更新中。

日刊SPA!

最終更新:10/3(月) 12:03

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