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「本物のアイドルポップスを俺が復活させる!」イカ天出身のバンドマンが仕掛けるアイドルグループLONDON BLUE

週刊SPA! 9/30(金) 9:10配信

 LONDON BLUE――。3年前に結成された4人組アイドルグループである。マニアックなアイドルファンでも、今はまだその名を知らない人が多いかもしれない。しかし“楽曲派”と呼ばれる耳が肥えた層を中心に、じわじわ口コミベースで注目が集まりつつある。

⇒【写真】LONDON BLUEの仕掛け人、青木秀樹(秀麻呂)

 LONDON BLUEの特徴として挙げられるのは、メンバーが歌って踊るだけでなく、バンドの一員として自ら楽器を演奏する点。そして猛烈に懐かしさを感じさせる楽曲群だろう。とにかく気恥ずかしくなるくらいにポップで、甘酸っぱくて、切ない。オックスやタイガーズといった60年代のGS、スレイドやスウィートといった70年代のグラムロック、ZIGGYやPERSONZといった80年代の歌謡ロック……これらの要素が混然一体となって独特の世界観を構築。徹頭徹尾、“B級の美学”に貫かれているのだ。

●LONDON BLUE『追憶のセレナーデ』

 そんなLONDON BLUEの仕掛け人は、カブキロックスやLOVE MISSILEで活躍した青木秀樹(秀麻呂)。『イカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)』出身のバンドマンである。これまで青木は数々の楽曲をアイドルや声優に書き下しており、中でもTOKIOには初期から深く携わってきた。関係者の間でも一目置かれる“最後のポップ職人”が満を持して立ち上げたアイドル・プロジェクト……それがLONDON BLUEというわけだ。

青木:歌というのは老若男女が口ずさめることに意義がある。まず、これが大前提になります。さらに言うとポップなだけじゃダメで、キャッチーじゃないといけない。はっきり言ってポップな曲なんて誰でも書けるんですね。それっぽいコード進行に乗せて、そこからスケールアウトしなければいいだけだから。じゃあキャッチーな曲というのはどういうことなのか? その曲を初めて聴くのに、1番を聴いたら、2番のときにはもう一緒に口ずさめている。そういうキャッチーな曲を僕なら書けるということです(笑)。

――音楽業界の中でも屈指の論客として知られる青木。あくまでも上から目線を崩さず、大風呂敷を広げていく姿勢には爽快感すら覚える。「僕なんかが偉そうに語るのもおこがましい話だけど」と一応は謙遜しつつも、舌鋒鋭く現在のシーンを斬っていく。

青木:「沸く曲」という表現があって、今のアイドルソングはライブ現場で騒ぐための要素が重要視されるんです。「MIX(ファン参加型の歓声)が入れやすいか?」とかね。だってアイドルのライブに行くと、ファンなのに曲を聴かないで騒いでいる人が結構いるんですよ。最初に見たときは衝撃を受けました。そもそも僕から言わせると、音楽っていうのは家でも聴けるもの。昔のアイドルソングは娯楽として家でも聴けたけど、今のアイドルソングの多くは沸くことだけに重きを置いている。だって今のアイドルソングを、20年後にも歌い続けることができますか? 現在のアイドルを批判する気はないし、それはそれで盛り上がっていて結構なんだけど、どうも違和感を覚えるんですよ。「これが本当のポピュラリティなのか?」って……。

 逆に自分がいいなと思うのは、AKB48でよく曲を書く井上ヨシマサさん(『大声ダイヤモンド』『涙サプライズ!』『Everyday、カチューシャ』などを作曲)。秋元康さんっていうのは、本当はもっと楽曲を掘り下げてほしいタイプじゃないかと思う。秋元さんはAKB48を通じて、70年代歌謡曲のような国民的ヒットソングを作りたかったはずなんですね。だけどこれだけの社会現象になると、どうしてもビジネス的な側面が強くなる。AKB48が音楽的に語られることが少ない現状は、秋元さんとしても不本意なんじゃないかな。

 キャッチーであることに対する青木のこだわり方は尋常でない。「わかる奴だけがわかればいい」といったクリエーター特有のエゴイズムは皆無で、1人でも多くの消費者に届くようにと全身全霊を注いでいく。外見はド派手なバンドマンなのに、実はゴリゴリの裏方志向。フィル・スペクターや筒美京平をリスペクトしてやまないという根っからの職人気質なのだ。

青木:そもそもキャンディーズやピンクレディーがあったからこそ、今のアイドルシーンが存在しているわけですし。あるいは都倉俊一先生、森田公一先生、阿久悠先生、鈴木邦彦先生といった職業作家の方とか。そういった偉大な先人たちに対して、自分自身が顔向けできる音楽を作っていきたいですね。それに今のJ-POPは歌詞に主観的な表現が多く、万人が共感できない構造になっている気がするんです。

 趣味が細かく細分化され、真の意味で国民的な大ヒットが生まれにくい時代になったと言われている。だが青木は、そのことについても主張したいことがあるという。

青木:昔は洋楽を聴く人が邦楽を一段下に見る風潮があったんです。逆に邦楽リスナーは洋楽を敬遠していてね。その洋楽と邦楽の壁っていうのはLOVE MISSILEがグラム歌謡を提示したり、ZIGGYの森重(樹一)君、ROLLY、THE YELLOW MONKEYの吉井(和哉)君なんかが世に出ることで取り除くことができたと思っています。そして今、強く感じるのは“アイドルしか聴かない層”が出始めているということ。一方でJ-POPを普通に聴く層の中には、アイドルというだけで聴かない人が多い。つまり大衆的な歌謡曲であるはずのアイドルソングが、一種の孤立状態にあるんです。僕はそういった状況をLONDON BLUEで変えていきたい。

 ここまで言い切るのは、自身の才能に対する信頼の裏返しなのかもしれない。そんな青木が生涯をかけた課題として挙げるのが「オリジナリティとポピュラリティの両立」。ミュージシャンだったら、おそらく一度は考えるテーマだろう。

青木:オリジナリティだけを追求するのは、意外と簡単なんですね。一風変わったことをすればいいだけだから。だけど、やっぱり大衆性がないとポップスとは呼べないはず。僕が大好きなプロデューサーで、マイク・チャップマンというプロデューサーという人がいるんです。スージー・クアトロなんかのUKバブルガムポップを作り上げた人なんですけど。あるいは日本でも人気だったベイ・シティ・ローラーズ。LONDON BLUEは、そのあたりのテイストを打ち出すというのが基本的なコンセプト。要は、ときめき感のあるキラキラしたサウンドです。

 70年代のバブルガムポップは「受けてナンボ」という姿勢が一貫してあったし、それゆえに「女・子供が聴く音楽」と揶揄されていた。まぁ実際、明らかに頭が悪そうな音楽ですしね(笑)。だけど本物のバカじゃ、キャッチーなものなんて作れないですよ。曲自体も決して単純な作りにはなっていないですし。おもいっきり頭を使って、頭の悪そうな音楽をやる。これがポップスの本質なんです。

 バカバカしいものやチープな匂いがするものに対する青木の情熱は、LONDON BLUEのメンバーにも注がれる。バンド活動を始めて1年半、4人のプレイは正直まだ稚拙な部分も目立つ。だが、青木は「演奏力なんて、さほど必要ない」と断言。テクニックよりも大事なのは演者の個性が見えることであり、逆に演奏が上手すぎると青木の追求するB級の美学から外れてしまうというのだ。

青木:ローリング・ストーンズよりもニューヨーク・ドールズに惹かれてしまう自分がいるんです。B級だからこそ醸し出せる下世話な感覚や猥雑さ……そのへんのニュアンスは大事にしていきたい。もっともLONDON BLUEの若いメンバーたちがキッチュな感覚を理解しているかといったら、はなはだ疑問ですけど(笑)。今後の展開については、メジャーのフィールドで勝負したいというのがひとつ。そして、そこで売れたい。だけど結局、売れる方程式ってないんですよね。だからこそ、とんなにすごいプロデューサーだって失敗することがあるわけで。だけど、売れない方程式というのは確実に存在する。それを僕たちはいろんな経験を通じて知っているからこそ、彼女たちには絶対に同じことをやらせない。それともうひとつ言えるのは、芸事をやっていて品格のない奴が売れたためしはない。そういう意味では、この4人は期待できるんじゃないかと思っています。替えのきかない音楽を作っている自負もありますしね

 一流の作曲家であると同時に、理論家であり、戦略家でもある青木。その発言を聞いていると、ますますLONDON BLUEに期待せざるをえない。そして最後にメンバー4人からも話を伺った。

――まずは簡単に自己紹介をお願いします。

RIYO:愛知県出身、濃い味が大好きなりーよんです!

KANA:LONDON BLUE最年少のKANAです!

KAORU:岩手県出身、クマさん大好きKAORUで~す! ガオ~!

MISAKI:LONDON BLUEの小さな巨人、リーダーのMISAKIばい!

――青木さんの書く曲を、メンバーはどう受け止めているんですか?

KANA:まず歌詞が独特すぎますよね。表現が回りくどいというか……(笑)。歌詞を渡されても、わからない言葉がたくさん出てくるんです。「デルタの星」とか「オレンジのカーベラ」とか平成生まれにはホント謎で、すぐ辞書で調べちゃいます。

RIYO:「アイドルっぽくない」っていうのが第一印象かな。アイドルってもっと「タイガー! ファイヤー!」とか騒げる曲が多いじゃないですか。でも、そのぶん他のアイドルとは全然違っているし、差別化できているんじゃないかと思います。

――自らバンド演奏するアイドルっていうのも、かなり独特な立ち位置ですよね。

KAORU:私、最初からベースを弾きたかったわけじゃないんですよ。消去法みたいな感じで、パートも決まりましたしね。ギターのMISAKIとキーボードのRIYOは経験者で、KANAもドラムを触ったことがあるということだったので。だから正直言って最初はベースが好きっていうわけでもなかったけど、今はいろんな音楽を聴くようになったし、自分で楽譜とか買って研究するようににもなったし、ベースを弾くのが楽しくて仕方ない! 向上心がどんどん上がっている状態です。

――今後の目標を教えてください。

MISAKI:私たちの最大の強みは、バンド演奏だと思うんですね。バンドを始めたことによって自分たちで音楽を作り出すことの楽しさを知ったし、それをたくさんの人と共有していきたいというのが今の夢です。実はファンの人からも、「いつもライブで楽しそうにしているね」って言われることが多くて。LONDON BLUEで楽しい気持ちがどんどん広がっていったらなって思います!

<取材・文/小野田衛 撮影/石川真魚>

【青木秀樹】

Hysteric Glamorのギタリストを経て、1989年にカブキロックスを結成。人気テレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国(通称・イカ天)』に出演し、禍々しいビジュアルで視聴者にショックを与える。メジャーデビューしたカブキロックスはシングルヒットも飛ばすものの、青木自身は90年にLOVE MISSILEを結成。THE YELLOW MONKEY、すかんち、マルコシアス・バンプとともに「グラムロック四天王」と称された。現在はカブキロックスを再結成させつつ、自身のバンドLOVE ME DOでも活躍。アイドルグループ・LONDON BLUEには、楽曲提供のみならず立ち上げ時のコンセプト決定から携わっている。なお、カブキロックスのメンバーとしては「青木秀麻呂」名義になる。

【LONDON BLUE】

UKロック、バブルガムポップ、R&Rをベースに、歌謡フレーバー漂うキャッチーな楽曲を展開するアイドル。ワンマンライブでは自ら楽器を演奏をすることも多い。メンバーはMISAKI(VO & G)、KAORU(Ba)RIYO(Key)、KANA(Dr)の4人。ルックスレベルが高く、MCでのぶっちゃけトークも面白いとアイドルファンの間で注目され始めている。公式HP:http://londonblue.jp/

■柚木美咲(MISAKI)生誕ワンマンライブ~My music~

日程:2016年11月6日(日)。開場18:00、開演18:30

場所:代々木Barbara

日刊SPA!

最終更新:9/30(金) 9:10

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。