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焼物の街「有田」のもうひとつの名物 鯉料理を味わうならこの2軒がベスト

CREA WEB 9/30(金) 12:01配信

vol.15 有田(佐賀県)
日本の名水百選に選ばれた有田の水で育てられた鯉

 佐賀県の有田市といえば、有田焼で名を馳せる日本磁器誕生の地である。

 今年は、有田焼磁器創業が400年を迎え、様々な行事が行われている。まず有田に出かけたら、窯元を巡ることをお奨めしたい。

 人間国宝を生み出した、柿右衛門窯、今右衛門窯、井上萬二窯を始め、香蘭社や源右衛門窯など、有名な窯元を巡るのもいいだろう。

 あるいは、有田で最初に陶器を生み出した、朝鮮から連れて来られた陶工、李参平の直系である李荘窯、ろくろ技巧の極地である清六窯や俊右衛門窯を巡って、その人間業とは思えない精緻の技に触れるのも素晴らしい。

 そのいっぽうで、有田は「食いだおれの有田」といわれた土地でもある。飲食店の数こそ少ないが、他にはない美味を味わえる土地でもある。また当然ながら、盛られる器は有田焼であり、料理も一層輝く。

 名物の一つに、鯉料理がある。日本の名水百選に選ばれた有田の水で育てられた鯉は、健やかな味わいで、我々を魅了する。

 市内には「龍泉荘」と「龍水亭」という2つの鯉料理屋があって、どちらも素晴らしい。

 渓谷の中に囲まれた風情のある佇まいの中で、景色を楽しみながらいただきたいなら「龍泉荘」。酢みその味わいと鯉こくの丸く深い味わいを堪能したいなら「龍水亭」をおすすめする。

鯉こくは、鯉の清廉でたくましい滋味が、九州特有の甘い麦味噌に溶け込む

 鯉といえば臭みがあるので酢みそでごまかして食べるとか、氷水で洗いすぎて、味気がない、というイメージをお持ちの方もおられよう。しかし初めて訪れる人は、有田のこの2店で「鯉の洗い」が登場すると、まずその美しい姿に感嘆の声を上げる。

 濃いピンクと赤色に輝き、縁をくるりと丸め、円形に盛られた姿は、ため息がつくほど美しい。

 サク。サクサクッ。赤と薄赤の身に光が抜け、冷たい鯉の刺身を噛みしだく。ほのかな甘さは、途切れることなく、噛むほどにゆるゆると広がっていく。

 名水百選の川で育った鯉は、そのミネラルの恩恵を受けて、滋味を膨らます。よく出会う鯉の洗いのような、不抜けた味ではなく、さっきまで生きていたぞと叫ぶ、命の甘みがあって、もう、どうにも箸が止らないのである。シコシコと弾む皮や、あっさりとした肝もぜひ合わせて食べられたい。

「龍水亭」では、丸く深みのある「鯉こく」もおすすめである。鯉こくは、鯉の清廉でたくましい滋味が、九州特有の甘い麦味噌に溶け込んで、味が深く丸い。

 ここに少し柚子味噌を落として飲めば、猛烈に酒が、ご飯が恋しくなる。

 一方「龍泉荘」には、渓谷の雄大な自然を望むモダンなカフェ「木漏れ日」も併設されており、ここで焼くパン類は県外からも購入者がやってくる。

 数々の名陶器を見て目を養い、爽やかな自然の中で鯉を食べる旅、これから緑が美しくなる季節に、出かけられてはいかがですか? 

料亭 龍泉荘
所在地 佐賀県西松浦郡有田町広瀬山甲2373-4
電話番号 0955-46-3617
営業時間 11:00~21:30(L.O. 19:45)
定休日 第2木曜日・年末(12月30日・31日)
http://www.ryusenso.jp/

龍水亭
所在地 佐賀県西松浦郡有田町広瀬山甲2286-22
電話番号 0955-46-2155
営業時間 11:00~15:30(L.O. 14:30) 16:30~21:00(L.O. 20:00)
定休日 水曜(祝日の場合は営業)
http://ryusuitei.jp/

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最終更新:9/30(金) 12:01

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