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ポケモンGOが社会にもたらした「空間の個人化」とは

Wedge 10/1(土) 11:20配信

 前回は映画を公開日にネット配信するスクリーニングルームについて扱った。スクリーニングルームは未だ始動していない模様だが、ユーザーの映画体験を考える上で非常に興味深いサービスである。

 技術は人々の感受性に大きな影響を与えるが、ユーザーに最近新たな体験を与えたものとしては、何と言ってもポケモンGOであろう。すでに世界中で議論されたポケモンGOだが、ロシアではポケモンGOが原因で逮捕者も現れた。今回は、ポケモンGOやその背景にあるAR技術(Augmented Reality、拡張現実)が我々に与える影響について考察したい。

ポケモンGOの土台 AR技術とは何か

 ポケモンGOで用いられているAR技術(拡張現実、以下AR)とはそもそも何だろうか。ARの説明はVR(バーチャルリアリティ、仮想現実)と対比すると理解が容易だ。コンピュータゲームなどに代表されるVRは、テレビ画面などにすべてバーチャルな空間をつくり上げ表現するものだ。最近ではオキュラスリフトやプレイステーションVRなど、ゴーグルをかければ目に映るすべてをバーチャルな空間につくり変える技術が注目されている。

 対するARの特徴は、現実空間をベースにしたままそこに仮想的な情報を加えることにある。コンピュータゲーム=VRとしての「ポケモン=ポケットモンスター」は、ゲーム画面の中で完結した物語である。他方、ARとしての「ポケモンGO」はスマホをかざすことでポケモンを現実空間に表現することができる。

 ちなみにAR技術自体は新しい技術ではなく、スマホが日本で普及しはじめた2009年頃から「セカイカメラ」というスマホアプリ等で実装されている。セカイカメラは現実の街にエアタグと呼ばれる文字や画像、映像をスマホ越しに書き置きすることができる。例えば街のカフェの前に「ここのカフェラテはおいしい」と書き込みを残したりすれば、ユーザーはスマホ越しにメッセージを確認し合い、ユーザー間のコミュニケーションや企業の宣伝に利用できる。セカイカメラは2014年にサービスを終了したが、AR技術はポケモンGOの世界的成功によって一気に世界中で認知されることとなった。

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最終更新:10/1(土) 11:20

Wedge

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