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中国人は幸せか? 不幸せか?

Wedge 10/1(土) 12:20配信

 今月は北京、西安、宝鶏、香港を3泊4日の弾丸出張で回った。北京では25年以上のお付き合いのある老朋友の新居に招待された。今回は古い友人のチャイナドリームについて書いてみたい。

チャイナドリームの象徴は何か?

 老朋友の李先生は国営企業で最高峰の研究機関の教授だが、今や関連子会社を上場させた中国一流の企業経営者でもある。今回訪問した先生の新居マンションの価値は今や5億円以上ではないだろうか。まさにチャイナドリームの象徴であるが国から安く払い下げられた自宅のマンションは北京の中心部にあり東京でいえば青山のようなロケーションにある。

 仕事場はすぐ近くで職住接近の恵まれた場所である。部屋は5LDKで250平米の広さで寝室が4つあって、広いリビングにキッチンもキラキラ光って素晴らしい。トイレが3つあって、最上階の7階にあるから眺望も最高だ。先生のマンション棟は研究所の一握りの幹部専用である。李先生は今年60歳の還暦を迎えるので、通常ならば今年一杯で退職して後は年金生活者になる予定だったが特別栄誉教授として、さらに5年間は研究機関の経営を行うことになった。こうした待遇は一般職員ではありえないのだが李先生の評価は学術面だけではなく経営者としての実績が評価されたものである。

 昔の国営企業幹部の官舎と云えば狭くて国際比較をすると日本の公務員宿舎と同様に「ウサギ小屋」と形容されても仕方のない代物だった。それが今や様変わりである。政府の指導もあって10年ほど前から福利厚生のために職員の賃貸住宅を次々と建設したのである。その後、長年勤めて一定の条件を満たした職員にはその住宅を格安で払い下げられるようになった。その住宅価格もこの10年で5倍から6倍くらいに値上がりして住宅バブルの結果、幹部職員は全員の資産は膨れ上がったのである。これは日本でも高度成長期には資産インフレで住宅価格がバブルで数倍になったのと同じ現象である。

豪華マンションが支給された背景

 同時にこの1年ほどの間に定年が近くなった幹部職員には特別に恩給の一部として新築の豪華マンションを払い下げることになったのだ。聞くところによると市中相場の8割引きの格安価格で払い下げされたのだから、まさに「濡れ手に粟」とはこのことである。

 李先生は国営の新材料研究機関の指導者であり特にレアアースの開発技術では中国No.1である。5年ほど前に上海株式市場に子会社を上場させて株価が上昇して企業価値が上がった結果、上場企業としての含み益は等比級数的に膨れ上がった。ところが給与については国営企業であるから国家ルールに従って給与水準を欧米並みに引き上げる訳にはいかない。そこで、福利厚生について「お手盛り」の大盤振る舞いをすることになったのである。日本のように会計監査院のような組織が横やりを入れる訳でもなく、長年の貢献に対して応分の配慮がなされたのである。

 私の多くの中国の国営企業の友人たちは社会主義経済だから残念ながら給料は欧米並みという訳には行かないが、住宅資産に関しては明らかに国際水準を超えていることは間違いない。

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最終更新:10/1(土) 12:20

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