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注目のライフスタイル誌、発信地はワルシャワでした。

Casa BRUTUS.com 10/1(土) 19:00配信

ここ最近目立つ、ポーランドの首都ワルシャワ発のライフスタイル誌。雑誌の作り手に話を聞いてきました。

洋雑誌好きなら一度は目にしたことがあるかもしれない『THISISPAPER』と『USTA』。この2誌がポーランドの首都ワルシャワで作られているのを知っていますか。ワルシャワって、条約機構の、旧共産圏? そんな暗くて寒そうな先入観を微塵も感じさせない誌面が気になって、作り手に会ってきました。

まず訪れたのは、近年ヒップなエリアとして若者が多く住むモトコフ地区の『THISISPAPER』編集部。元歯科病院を改装した建物には、彼らの運営するセレクトショップとオリジナルグッズを生産する工房が併設されており、彼らはここで雑誌とグッズ、それぞれの制作から販売までを行っている。活動に占める雑誌の立ち位置を創始者のズザンナに聞いた。

「最初はブログを書いていたんだけど、だんだんウェブとは違うスピード感で物語を紡ぎたいと思うようになって雑誌を始めたの。そして、ブログにはかなりの閲覧者がいたので、オンラインショップで鞄を売ることに。結果的にこの鞄とショップのおかげで私たちは広告を入れず、ブログ時代と同じように“伝えたいことを伝える”雑誌を作れているの。これからはワルシャワのデザインを世界に伝えていくためのデザインスタジオ的な活動にも挑戦したい。ご存じの通り、ワルシャワは悲しい歴史を持った“焼け野原”。新しいものを作りたい若い世代にとって、チャレンジしやすい環境だと思う」

次に向かったのは、サスカ・ケパ地区に佇むモニカの自宅兼『USTA』編集部。ジャーナリストとして活躍し『FANTASTIC MAN』『THE TRAVEL ALMANAC』『KINFOLK』などを初期から愛読していた彼女は、ワルシャワのフードマガジン『Smak』を経て、写真家の夫と『USTA』を立ち上げた。『Smak』も『USTA』も食をテーマにした雑誌なのが新鮮だが、彼女はその理由を語る。

「数年前の社交場はクラブだったし、世間の一番の憧れはDJだった。でも、今日ではキッチンがそれに取って代わっている。スターみたいなシェフも現れているしね。夏はピクニック、冬はホームパーティー、食で人とつながる機会がポーランドには多いの」

『USTA』が有名になったきっかけもポーランドならではだ。

「『USTA』の関連書籍として『O jablkach(=りんごの本)』を出版したタイミングで、ロシア政府がポーランドに対してりんごの禁輸措置を発表し、りんごは一気に世間の関心事に。外務省の人から連絡が来て、りんごの本を英語版で出版し、海外へ流通することになったの。その過程で雑誌を知ってもらえたのはラッキーだった。これまでポーランドは、自国の文化をどこか恥ずべきものとして世界に発信してこなかった。知られていないことがいくらでもあるわ」。そう言ってモニカはポーランドのセラミックアーティストの作品を見せてくれた。

2誌に共通していたのは、少数の同志で機動力を生かし、発表する場と資金を自分たちで作っていること。ワルシャワの新しい雑誌文化は、1989年のポーランド民主化後に思春期を過ごした、若い世代の勢いを示すものだった。

photo & text_Housekeeper

最終更新:10/1(土) 19:00

Casa BRUTUS.com

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