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Rei、弓木英梨乃、Predawn……本当に注目すべき実力派の「ギタ女」たち

リアルサウンド 10/1(土) 15:00配信

 「ギタ女」という言葉を頻繁に見聞きするようになったのは、この1~2年のことだろうか。その出所は明確にはわからないが、最近ではNMB48の山本彩のソロアルバム発売が告知され、亀田誠治、GLAYのTAKURO、スガ シカオといった豪華な顔触れの参加が発表されるなど、そのブームは今も広がり続けているように感じられる。しかし、おそらくは多くの人が思っていることだろう。「これって、要は女性シンガーソングライターのブームってことでしょ?」と。まあ、ブームというのは得てして突っ込みどころがあるもので、別にこれに対して不満があるというわけではない。ただ、せっかくギターに注目が集まっているのに、今まさに頭角を現しつつある女性ギタリストの存在が見過ごされているとしたら、それはとても勿体ないのではないか。そこで今回は、「ギタ女」の一言では語り尽くせない実力派の女性ミュージシャンを紹介していきたい。

 まずは、9月21日に3枚目のミニアルバム『ORB』を発表したばかりのRei。1993年生まれで現在23歳のReiは、兵庫県生まれ。幼少期をフランスとニューヨークで過ごし、4歳からクラシックギターを始め、またビッグバンドに所属してエレキギターも始めている。帰国後はブルースに傾倒し、弾き語りの活動もしつつ、神戸の音楽学校を経て上京。ペトロールズの長岡亮介との共同プロデュースによるミニアルバム『BLU』でデビューを飾っている。弾き語りではフィンガーピッキングとサムピックを用いたカッティングを使い分け、スライドバーによるボトルネック奏法も駆使したりと、その多彩なプレイはまさに本格派だ。

 セカンドミニ『UNO』に続いて、セルフプロデュースで制作された『ORB』では、まずリードトラックの「COCOA」に注目。カッティングと4つ打ちを軸としたファンキーなナンバーで、間奏のワウパートや、キメで一瞬用いられるピッチシフターなど、エフェクト使いの小技も効いている。ファンを公言するBECKの『MIDNIGHT VALTURES』を今に更新したような雰囲気も、2016年の空気にハマっていると言えるだろう。他にも、UKサイケなリフものの「Pay Day」、ブルースマナーのロックンロール「Route 246」、スライドバーを用いたカントリースタイルの「Keep On Driving」と、そのプレイスタイルは実に幅広い。ルーツを重視しつつも、それをモダナイズする意志はまさにBECK譲りであり、今後のさらなる活躍は間違いないだろう。

 『ORB』収録の「Oo-Long-Cha」にはBase Ball Bearの「ベー女」、関根史織がゲスト参加しているが、先日11月から始まるBase Ball Bearのサポートギタリストを務めることが発表されたのが、弓木英梨乃である。現在はKIRINJIのメンバーとして活動するほか、秦基博、土岐麻子、吉澤嘉代子といった様々なアーティストのサポートを務めているが、そもそも彼女のキャリアのスタートは、現在の「ギタ女」のイメージに近い、シンガーソングライターとしてだった。

 結局、その路線は上手く行かなかったものの、中学からTHE BEATLESをコピーし続ける一方、ロック/ブルース系のギタリストからの影響を受け、ギターインストを作り続けてきた彼女の腕前は徐々に評価され、現在のポジションを築くに至った。最近ではRHYMESTERとのコラボレーションによるKIRINJIの「The Great Journey」が話題を呼んだが、かつて同じくRHYMESTERとコラボした「The Cut」を発表し、近年はファンク路線を見せるBase Ball Bearのサポートを弓木が務めるというのは必然の流れであり、今後はよりロック方面にもその名が知られていくはずだ。

 最後にもう一人、Reiと同じく9月21日にひさびさの新作『Absence』を発表したPredawnの名前を挙げておこう。彼女は繊細な歌声や美しいメロディーについて語られることが多く、「ギタ女」的な観点で語られることは少ないように思うが、歌に寄り添う彼女のフィンガーピッキングは実にスムーズで、味わい深い。新作は初のバンド録音で、近年のライブではエレキギターを弾く機会も増えているが、エレキだと右手のストロークがややぎこちないのが、逆にキュートだったりもする。ぜひとも、彼女たちのような実力派の「ギタ女」に注目してほしい。

金子厚武

最終更新:10/1(土) 15:00

リアルサウンド