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【試写室】「狙撃」で人を信じることの難しさを痛感

Smartザテレビジョン 10/2(日) 5:00配信

「そんな簡単に人間を信用しちゃいけないんですよ」

確かにその通り。きれいな女性に声を掛けられて、ついて行ったら壺を買わされることなんてよくある話。だからわが家には、棚に飾り切れないほど壺がたくさん…って、そんなわけないですね。

【写真を見る】涼子は鎮目(佐藤浩市)から「全部脱げ」といきなり服を脱ぐことを命じられる…

冗談はさておき、各局で放送されているドラマやバラエティーを事前に完成DVDを見て独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、Smartザテレビジョン流の「試写室」。

今回は、10月2日(日)夜9時より放送される、尾野真千子主演のドラマスペシャル「狙撃」(テレビ朝日系)を一足先に視聴し、見どころを伝える。

西小金井署の刑事・上月涼子(尾野)は、捨て身のおとり捜査で婦女暴行犯(南圭介)を逮捕する。手柄はすぐに署内で話題になるが、不倫が原因で左遷させられてきた元警視庁捜査一課の涼子に近づく者はいなかった。

数日後、涼子は本庁の城田警務部長(でんでん)から呼び出しを受ける。おとり捜査の際、犯人に振るった暴力のおとがめを受けるのだと腹をくくる涼子だが、城田から告げられたのは、所轄に籍を置いたまま本庁勤務という、異例の“配置転換”だった。

行き先は、警視庁警務部特務監察室という部署。涼子は、城田いわく「関わると不幸になる」という室長の鎮目竜二警視正(佐藤浩市)の下で、警察官を内偵する任務に就くことになる。

雑居ビルの一室に本拠を置く特務監察室のメンバーは、事務の花村加代(鈴木麻衣花)と警部補の成瀬勝巳(北村有起哉)。壁に古い血の痕が染みついた取調室に連れてこられた涼子は、鎮目からいきなり服を脱ぐよう命じられる。「役に立つな。俺の思い通りに動け」という鎮目に、涼子はイラ立ちを隠せない。

そんな涼子の最初の任務は、警察官の覚せい剤関与疑惑。その内偵対象である刑事・斉木優也(眞島秀和)は、涼子のかつての不倫相手だった。「自分の目で見たものしか信じない」という涼子は、鎮目にだまって斉木と接触する。

翌日、鎮目は斉木の身柄を拘束するが、警視庁公安部理事官の左遷と引き換えに犯罪を隠ぺいする。異議を唱える涼子に、鎮目は「俺たちの仕事は組織を守ること。異物の排除に世の善悪は関係ない」と言うと、次の日まで全てに目を通すか、辞職かの道を選べと、未解決の「宮田議員暗殺未遂狙撃事件」に関する大量の資料を渡す。

それは15年前の6月30日の事件で、次期首相と目されていた現役閣僚の宮田達之(柄本明)が何者かに狙撃された。くしくも同じ日、涼子は強盗犯に母を殺されるという人生最悪の日を迎えていた。

涼子は、危険を承知で宮田議員暗殺未遂狙撃事件を追うことを決意。そこで事件の鍵を握る公安刑事・貴島(阿部サダヲ)らと関わり、警察組織の闇に触れて危険にさらされていく…というストーリーだ。

ドラマを見た後に、こんなにも「やっぱり他人を簡単に信用しちゃいけないな」と、思ったことはない。信じた人に裏切られるとか、意外な人が実は悪人だったとか、二転三転し過ぎて誰を信じていいのやら…状態。最後まで全くもって油断ならない物語だ。

個人的には、本文冒頭のせりふを発する貴島(阿部)が電車内で感じる他人の視線、横断歩道で信号が変わった途端にダッシュしたら突然通行人に一気に追い掛けられるさま、常に誰かに見張られているのではないかと疑心暗鬼に陥る姿が怖過ぎて、街を歩く際につい周囲の目を気にしてしまうようになってしまった。

阿部は近年コメディータッチな作品で輝きを放つことが多いが、こういうシリアスな役もさすが。特にどこか“小動物感”が全身から出ている彼は、何かに追われる役が実によく似合う。いい人なのか悪い人なのか分からない状態で見ていても、ついつい守ってあげたくなる感覚になってしまう。母性本能全開でご覧あれ。

そして主演の尾野。つい先日まで多少口が悪いものの慈愛に満ちた母親を演じていたかと思えば、今回は心身ともにべらぼうに強い女性・涼子を演じている。尾野が真剣な顔をしたときのキリッとした顔、特に眼光の鋭さは同世代の女優では間違いなくNo.1だろう。

それだけに、こういった役がとてもよくハマる。今回は尾野の喜怒哀楽、主に“怒”と“哀”の表情を堪能してほしい。強い人が見せる弱い一面、そのギャップはとても魅力的で、また尾野はそれを表現するのがあまりにもうまい。たぶん見終わったころには、尾野に「愛しています。」と言いたくなる人が続出しそうだ。

また、今回のキーパーソンの1人・鎮目を演じるのは名優・佐藤浩市。鎮目は非情な男というキャラクターだけあって、それはそれは冷たく怖い。特に、部下を被疑者の前でボコボコにする姿は、ドラマの中だと分かっていても背筋がヒンヤリした。

その鎮目は既報通り、事前に殉職することが分かっていたのだが、その事前情報があって見ていたからか、佐藤のシーンは常に死角に誰か潜んでないか?とSPのように目を光らせて見てしまっていた。それでも予想外の“刺客”からの銃撃。まさかあんな形で殉職するとは…。

つい「なんじゃあこりゃああ!」と、自分が撃たれたわけでもないのに、履いていた“ジーパン”を破りそうになりながら叫んでしまっていた。はい、ごめんなさい。

その他、松重豊が演じる公安刑事の静かなる恐ろしさ、でんでん扮(ふん)する鎮目の上司・警務部長の城田のひょうひょうとした感じなど、オジサマキャストも魅力たっぷりのキャラクターを演じている。キャスト名だけ並べて見ていても満腹感を味わえそうだ。

ここまでやや軽い感じで紹介してきたが、真相に近づく人に危険が迫り、同時に警察組織の深い闇が明らかになっていくなど、本格サスペンスとして見応え十分の本作。警察の闇を硬派に描いており、これを見たら警察すらも簡単に信用しちゃいけないのかなとも思ってしまうほど。

少し優しくされただけで人を信じてしまうような人には、このドラマを見てもらって危険は身近に潜んでいるんだということを意識してもらいたい。

ただ、決して信じられるのは自分だけ、ということを強調したいわけではなく、本作では人と人との絆も描いているので、そういう部分も注目してほしい。決して損はさせません!

あ、でも簡単に信じちゃいけませんよ。

この記事も本当のことを伝えているとは限らないので…、まずは一度“自分の目”で確かめてみよう。

最終更新:10/2(日) 5:00

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。