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医者の教育、内視鏡手術…「VR医療」当たり前に!?

R25 10/2(日) 7:00配信

仮想現実を作り出す技術「VR」が生かされているのはエンタメ業界だけではない。人間の命を扱う医療の現場でも、導入され始めているという。VR技術によって、医療はどのように変化していくのか、日本VR医学会理事長の高橋隆さんに聞いた。

「VR技術は、治療や医師の教育・訓練に役立てることができます。そもそも医療の現場でのVRとは、いわゆる“仮想現実”ではなく、現実にあるものを映し出したり実現したりする技術を呼びます。たとえば、内視鏡手術はこれまで動物実験などでしか経験を積めませんでしたが、CTスキャンなどのデータをもとにVRで人体を立体化するシミュレーターができたことで、実践的な外科訓練ができるようになりました。国内でも広がり始めています」

●VRで治療はどう変わる?

さらにVRは教育だけでなく患者治療の場でも活用され始めているという。アメリカでは、戦争体験によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した患者にVR空間で再び戦争現場を経験させ、克服させる治療が行われている。再体験を重ねるごとに炎の映像や銃声などの刺激を増やすことで、徐々に戦争の状況に耐性をつけ、疾患を乗り越えていくというものだ。日本では、VRを用いた治療は行われていないのだろうか。

「外科治療においては、すでに国内で広がり始めています。ロボット支援手術では、VRの存在が欠かせません。これは、たとえば腹腔鏡下手術において、動作の制限や狭い術野を克服することが可能です。人間の代わりに手術を行うロボットアームを操る医師は、同じ手術室内ではありますが、遠隔で操作することになります。その際に内視鏡カメラが収める術野を、医師の眼前に3D画像で映し出す技術が用いられているのです」
VR技術の発達によって、医療も進化しているというわけだ。高橋さんは「今後の医療の流れのなかでも、VRの存在は重要」と話す。

「現在は“低侵襲治療”、患者さんの体になるべく負担をかけない治療が推奨されています。傷口を小さくし、入院期間を短くできる内視鏡手術はその一環です。口や膣から内視鏡や器具を入れる手術の研究が進んでいますが、医師にとってはますます術野が狭くなるため、体内を立体映像化できる技術がさらに必要になっていきます」

今後は内視鏡手術の最中に立体映像を映し出し、カメラや医療器具が体内のどの位置にいるか、どこを触っているかをより明確に把握できるようになるという。日本VR医学会と和歌山大学の共同研究では、腰痛を緩和するための内視鏡手術に特化したVRシミュレーターを開発中とのこと。医師だけでなく、患者自身も術前に体内の状態や手術法を立体映像で見ることができるため、納得して治療に臨むことができるのだ。
では、完成したら、すぐにでも最新技術は現場で使われるのだろうか。

「日本は薬事法の関係で、新たな技術や機器の申請に時間とお金がかかるという問題があります。開発が進んでも、現場に出るまでには少し時間がかかるでしょう。ただ、手術支援ロボットのように、健康保険が適用されれば一気に普及するという側面もあります。数年後にはVR医療も当然のものになるかもしれません」

医療の進化、患者の安心感につながる「VR医療」。僕らが高齢者になる頃には、想像もできないような発展を遂げていそうだ。

(有竹亮介/verb)

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eBay、アリババ、伊勢丹…2017年VRショッピング元年に?/VRロボットが描く「労働力をネットで転送」する未来!?/群雄割拠のハイエンドVR端末!はたして勝者は…?/ ほか順次公開予定
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:10/2(日) 7:00

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