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青野尚子の「今週末見るべきアート」|杉本博司が考える人類の終末

Casa BRUTUS.com 10/2(日) 12:00配信

約2年間の改修を終えてぴかぴかになった東京都写真美術館。リニューアル・オープンおめでとう! という気分で中に入ると、そこには思いがけない廃墟が広がる。

美術館の総合開館20周年記念でもある杉本博司の個展は「文明の終焉」がテーマだ。彼が考える人類の終末とは何か、杉本に聞いた。

『杉本博司 ロスト・ヒューマン』と題された個展は〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉〈廃墟劇場〉〈仏の海〉の3部構成。最初の展示室に広がる〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉と題されたシリーズでは錆び付いたトタン板で囲われた、打ち捨てられたようなスペースに杉本自身の写真と、彼が見つけた歴史的文物がインスタレーションされている。戦時下の硫黄島の地図、歴代の政治家たちが表紙になった『TIME』誌、機械仕掛けの文楽人形、日本が世界に誇る高技術を結集したラブドールまでが等価に並ぶ。

タイトルはアルベール・カミュの『異邦人』の冒頭「今日、ママンが死んだ」からとったもの。不条理を表出したとされるこの小説より、もっと不条理なことが現実に起きつつあるように思えてくる。この展覧会は2014年にパリのパレ・ド・トーキョーで展示されたインスタレーションの東京バージョンである。

「ここでの展示はパリで展示したものにこちらで集めたものを追加して、バージョンアップしています。主に、太平洋戦争の苦い記憶を示すものを増やしました。どうして我々はあの戦争に突き進んでしまったのか、海外でよく聞かれるのですが、うまく答えられたことがないのです。立花隆の『田中角栄研究―その金脈と人脈』が掲載された文藝春秋など、ジャーナリズムに関する資料も増やしていますね」と杉本博司は言う。

33に分かれたスペースはそれぞれ、杉本が考えた文明の終わりを告げる物語を現す。世界の終わりに建築家や理想主義者、ロボット工学者などさまざまな人々が、文明がいかに滅びたかを書き留めるという趣向だ。

「19世紀に起こった共産主義の失敗が明らかになった後は、人々の欲望の赴くまま今に至っている。このままでは破綻は免れない。この作品は『そうなってはいけない』という33の物語によって警鐘を鳴らすものです。私はアーティストなので、ものに語らせるという手法をとることにしました」

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最終更新:10/2(日) 12:00

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