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社会主義的政策が招いたベネズエラの食料危機

Wedge 2016/10/2(日) 12:10配信

 2006年ごろ、南米駐在のある日本大使がこんな発言をした。「ベネズエラのチャベス政権は中南米の貧困解消のモデル、希望の星になるかもしれない」。

 予測は外れ、今やベネズエラは「遅れてきた社会主義」の夢もついえ、食料難が深刻化している。

 同国の報道では飢えによる乳児や老人、動物園の動物の死などが散発的に伝えられる。ネット上には「日に数千人が栄養失調死」といったレポートもあり、これは誇張といえど、人口3300万人のうち数百万人が食料不足にあえいでいるのは事実だ。

前政権の貧困対策が招いた危機

 99年から13年までこの国を率いた故チャベス前大統領による社会主義的政策で、国は小麦など基本食料品の価格を低く抑えてきたが、この貧困対策が食料難の一因になっている。政府は周辺諸国から確保した食料を買い値の6分の1ほどの低価格で市場に流す。その際の損失は石油マネーの国庫でまかなうが、問題は安い食料を犯罪組織や市民が買い占めてしまうことだ。それを隣国で倍の値で転売したり、闇市場に流す。その結果、貧困層どころかマクドナルドまでが小麦やパンを入手できない事態に陥っている。

 日本でも73年の第一次オイルショックの際のトイレ紙や、震災直後の水や食料品の買い占めがあったが、それを一般人が転売してもうけることはなかった。21世紀になっても、国の統制が効かなくなると人心は荒れる。ベネズエラはその一事例と言える。

 チャベス氏を引き継いだ左派のマドゥロ現大統領は14年からの石油価格下落で財政悪化を招き、与党は昨年12月の国会議員選で右派連合に完敗。それから経済危機を放置したまま現在に至る。

 退陣は時間の問題だが、仮にトップが変わっても、食料危機が解消されるにはかなりの時間が必要だ。

岩城薫

最終更新:2016/10/2(日) 12:10

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