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『あいちトリエンナーレ2016』も大好評! 大巻伸嗣の最前線。

Casa BRUTUS.com 10/2(日) 13:00配信

芸術祭などで行列ができるほど人気の大巻伸嗣。開催中の『あいちトリエンナーレ2016』での作品も好評です。

彼が今、東京・代官山のアートフロントギャラリーで開いている個展のタイトルは『Liminal』。合わせて初の作品集『大巻伸嗣』(現代企画室)を出版し、ギャラリーで自作について語りました。彼の作品が引き起こす不思議な感覚の秘密をちょっとだけお見せします!

『あいちトリエンナーレ2016』では3つの会場でそれぞれ違うタイプの作品を発表している大巻伸嗣。東京・代官山のアートフロントギャラリーで展示されている新作は鉄板を波のように折り曲げたものだ。表面は白だが、壁に向いた側が黄色や緑などの鮮やかな色に塗られている。

「僕は相模湾に近いところに住んでいるのですが、相模湾で船に乗った時の揺れ方と東京湾での揺れ方は違う。エンジンを止めるとその違いがよくわかります。作家は自分の身体や経験と、あらゆることを結びつけたくなるものです。この作品はそんなところから生まれました」

裏側に塗られたビビッドカラーは白い壁面に映って、黄色や緑の影を落とす。この塗装は普段、車の塗装を手がけている工場に依頼したものだそう。

「僕はこの作品で空間や形が破壊されていって形が見えなくなるようなものを作りたい、と思っていたのですが、職人さんも一緒になって実験してくれました。最終的には白い塗装にホログラム塗装を入れることによって、表面性の解体、表面性のブレのようなものが起きた。実体としての存在と表面的な存在との間で揺れるような作品になったと思います」

個展のタイトルの「liminal」は大巻が手がける一連のシリーズ《Liminal Air》にも使われている言葉だ。《Liminal Air》の一つ、空中に薄い布がひらひらと舞う作品では、その幻想的な光景をはっきりと記憶にとどめることができなくてもイメージは深く心に残る。

「この作品はもちろん現実であって、物質性もあるわけですが、『現実である』ということが『現実でない』ということにもなりうる。私たちはこれをフィジカルに皮膚で感じることができますが、それよりも視覚で感じるところが大きい。その視覚のブレやあいまいさによって、僕が彫刻や物質を触りながら生きてきたということを裏切っていく。それは非物質的な生産行為だと認識していますが、その認識すらも壊されていくことが面白い」

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最終更新:10/2(日) 13:00

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