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イエス役を演じた米俳優の活躍 --- 長谷川 良

アゴラ 10/2(日) 17:02配信

メル・ギブソン監督の映画「パッション」(2004年)でイエス・キリスト役を演じた米俳優ジェームズ・カヴィーゼルが米CBS放送のTV番組「パーソン・オブ・インタレスト」(Person of Interest) で元CIAエージェントの主人公(ジョン・リース)を演じ、好評を博した。米国では今年6月最後の第5シーズンの放映が終わったが、当方はDVDでフォローしているところだ。非常に面白い。ファンから「続きを制作してほしい」という声が出ているという。

カヴィーゼルは映画「オーロラの彼方へ」(原題 Frequency、2000年)で警察官役を演じた俳優だ。同映画は人生の失敗、間違いに対してやり直しができたら、どれだけ幸せか、という人間の密かな願望を描いた第一級の映画だ。

「パーソン・オブ・インタレスト」は元CIA工作員ジョン・リースとコンピューターの天才ハロルド・フィンチが犯罪を未然に防止するために戦う。2001年9月11日の米国同時多発テロ事件後、フィンチがイスラム過激派を取り締まるために全ての情報を収取し、解析するマシンを作るが、通常の犯罪に対しては政府は関心がない。そこでフィンチは相棒ジョン・リースとともにマシンを駆使して犯罪を未然に防ぐというストーリーだ。

番組の初めにハロルド・フィンチの解説が流れる。
「我々は見られている。政府の極秘のシステム“マシン”によって常に監視されている。開発したのはこの私だ。テロ行為を未然に防ぐためにマシンを設計したが、一般人を巻き込む凶悪犯罪も検知する。政府には“無用”の犯罪だ。政府は何もしないので、私が防ぐと決意した」(ウィキぺディアより)。

ところで、放映が終わった米TV番組の内容をここで詳細に紹介することが目的ではない。「パッション」でイエス役を演じたカヴィーゼルは当時、ギブソン監督から「この映画の主人公を演じれば、君はユダヤ系が主導権を握っているハリウッドから声がかからなくなるよ」と警告を受けていた、と最近聞いた。イエスの十字架への苦難を聖書に基づいて忠実に描いた「パッション」に対して、ユダヤ系グループから激しい批判が出ていたことはよく知られている。カヴィーゼルはギブソン監督らの警告にもかかわらず「パッション」でイエス役を演じた。カヴィーゼルは後日、「自分は俳優として一度はイエス役を演じたかった」と説明している。彼は敬虔なカトリック信者だ。

いずれにしても、ハリウッド界ではユダヤ人社会の利益に反する言動をする俳優、製作者はそれだけで道が閉ざされると聞いたことがある。その一方、ユダヤ人の利益を擁護する映画はアカデミー賞を受賞しやすいともいわれてきた。多分、全てその通りとは思わないが、一面は当たっているだろう。

カヴィーゼルはその後、ハリウッド主導の映画には余り声がかからなくなった。その矢先、米CBS放送のTV番組「パーソン・オブ・インテレスト」で主役が飛び込んできたわけだ。同番組は異例の好評で計103本のエピソードが放映された。2012年には「第38回ピープルズ・チョイス・アワード」を受賞している。

なお、ギブソン監督は「十字架の死後、復活したイエスの姿を描きたい」と指摘し、「パッション2」の制作に意欲を見せていると聞いた。そのニュースが事実かどうか確認できないが、実現すれば、カヴィーゼルのイエスの姿がまたみられるかもしれない。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年10月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』(http://blog.livedoor.jp/wien2006/)をご覧ください。

長谷川 良

最終更新:10/2(日) 17:02

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