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森達也が指南するメディアリテラシー:「視点が変われば世界は変わる」

ローリングストーン日本版 10/2(日) 13:00配信

InterFM897と本誌のコラボレーションで、毎月第3火曜日の夜21時から生放送でお送りしているラジオ番組『(Are You Rolling?)・・・We Are Rolling!』9月20日O.A分の一部を紹介。

映画『FAKE』監督・森達也が語る、佐村河内を通して描かれる社会、メディア

最新号のカバーを飾ったトム・ヨーク率いるレディオヘッド『クリープ』でスタートした『(Are You Rolling?)・・・We’re Rolling!』。DJを務めるのは、小誌シニアライターのジョー横溝。

この日のゲストは、最新号の小特集「現代社会を生き抜くためのメディアリテラシー」にも登場した映画監督・作家の森達也。オウム真理教事件の真相に迫った『A』『A2』以来15年ぶりとなった最新作『FAKE』では、ゴーストライター騒動で激しい批判を浴びた音楽家・佐村河内守氏に密着し、話題を集めた。映画を通じてメディアのあり方に疑問を呈し続ける森監督に、メディアリテラシー=メディアを主体的に読み解く能力について語ってもらった。

—森さんは映画監督ですが、メディアリテラシーを考えるのにうってつけの作品をたくさん撮られていますよね。特に最新作『FAKE』では、メディアの二極化に切り込んでいます。メディアはこの事件に関して、佐村河内さんが悪で新垣さんが善といった描き方を連日報道していましたよね。

この事件に限らず、白黒でも、善悪でも、真偽でも、本来はその二項のあいだが9割以上を占めていると僕は思っています。ただ、メディア的にはその"あいだ"というのは中途半端で面白みがない。だからグレーっぽいものを黒と言い切ったり、白っぽければ白と言ってしまったり。善悪もそうです。刺した人はとんでもない悪人で、刺された人は善人です、と。そういう風に物事がどんどん記号化されている。世界が矮小化されちゃっているんです。本来は、その"あいだ"のグラデーション、様々な色があることが面白い。それが、メディアが発達したことで扁平になってしまっているんです。

—1995年、Windows95の登場以降、ネット社会の白黒感がさらに煽られた気がします。メディアの在り方が変わったひとつのターニングポイントなのかもしれませんね。

オウム真理教の地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災も1995年です。その二つの事件と事故で社会は不安と恐怖を掻き立てられ、さらに同年に誕生したネットによって、その恐怖がどんどん増殖されたというのはありますね。それから6年遅れてアメリカの同時多発テロが起こり、恐怖の増殖みたいな現象が一気に世界に広がっていったような気がします。

—誌面では鴻上尚史さんと対談していただきましたが、その中で衝撃のお話がありました。中国で車に轢かれて路上に倒れていた少女のお話です。

数年前になります。ある中国の地方都市でひとりの女の子が車に轢かれて路上に倒れていたのですが、多くの通行人が見て見ぬふりをしながら歩きすぎてて行ったというニュースです。その監視カメラの映像をテレビが報道し、ネットにも流れた。特に日本ではこの映像を見た人たちが、「いくらなんでもひどい」「中国人は冷酷だ」などと掲示板などに書き込んだ。

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最終更新:10/2(日) 13:10

ローリングストーン日本版

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