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重量挙げ銅「三宅宏実」が本の虫に 本人語る

デイリー新潮 10/2(日) 11:00配信

 ウエイトリフティングと読書、意外と言えば意外な組み合わせ。しかしながら、リオ五輪で見事、銅メダルに輝いた三宅宏実選手(30)は、本の虫になってしまったのだという。なぜ、読書にハマったのか、その理由を本人が余すところなく明かした。

 ときには、1日に1冊を読み切ってしまうくらいの本好きです。

 リオに向かうときも、成田空港の本屋に寄って3冊の本を買いました。そのうちの1冊は松岡修造さんの本で、言葉のパワーに前向きな気持ちになれた。減量のために、お風呂に長時間入って汗をかかなければならなかったのですが、読書をしながらだと競技への不安とか余計なことを考えずに済みました。

 実を言えば、20代半ばまで、本にはまったく関心がなかった。母は読書家で、幼いころから“本を読みなさい”と言われていましたけど、すぐに眠くなってしまって。でも、母から勧められた道尾秀介さんの小説『向日葵の咲かない夏』は違いました。ちょっと怖い話なのに続きが気になって、初めて1冊の本を読み通すことができた。

 ただ、そのときに読書の面白さに気づいたはずですが、ハマるまでにはなりませんでした。

■隅から隅へ

 8年前の北京オリンピックは、メダルを期待されながら6位という散々な結果でした。自分の不甲斐なさに悩みました。けれど、いつまでも悩んでいたって前に進めない、気分転換に読書でもしようと思い立った。

 たまたま、本屋のおすすめ本コーナーで、東野圭吾さんの『時生』が紹介されていて、面白そうだからと手に取りました。その本を一気に読み終えたことがきっかけで、読書に没頭するようになった。

 いまでは、暇さえあれば本屋に行っています。ベストセラーからビジネス本、翻訳もの、資格や旅行の本まで、隅から隅へと棚を見てまわるので、だいたい2時間くらいかかる。

 私は好奇心が強くて、知らないことを知りたい、世界を広げたいといつも思っているから、色んなジャンルの本に目を通します。

 どの本にも、自分にとってプラスになる言葉が見つかる。

 例えば、天台宗大阿闍梨の酒井雄哉(ゆうさい)さんの『一日一生』を読んでからは、“毎日の練習に試合のつもりで取り組もう”と考えを改めましたし、落ち込んだときには“今日は今日。明日は明日で別の人生を歩めばいいんだ”と割り切れるようになりました。

 今年からは、読んだ本のタイトルと著者、胸に響いた言葉や知らなかった漢字をノートに書き留めるようにしています。

 リオから戻って1カ月間は、腰痛の治療のため、満足に練習ができていません。この充電期間を利用し、栄養や筋肉についての本をたくさん読むつもりです。何を食べて筋肉をどのように動かせば、より良いパフォーマンスができるのかを研究しようかと。

 正しい知識が得られれば、私のウエイトリフティングの改善点が見つけられるかもしれない。

 私にとって、東京オリンピックはとても魅力的。読書によって、“さらに上”を目指す準備をしたいと思っています。

「ワイド特集 ワケありの人物」より

「週刊新潮」2016年9月29日号 掲載

新潮社

最終更新:10/2(日) 11:00

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