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衰えぬ森家のDNA 80歳から超高級リゾート事業、長女は8000億円の投資!?

NIKKEI STYLE 10/3(月) 7:00配信

 森トラストの会長、森章氏(80)の事業熱が止まらない。北海道苫小牧市で東京ディズニーランド20個分にあたる1057ヘクタールの敷地を購入、超大型のリゾート開発に乗り出したのだ。目指すのは日本のどこにもなかった本物の超高級リゾート。森家のDNAは1代で売上高1600億円もの大企業をつくり上げた起業家に決して「休め」とは命じない。

■森家の家訓でサラリーマン

 「森家の家訓の1つに『マネをしてはいけない』というのがあった。それで銀行マンになることを選んだ」。1960年、慶応義塾大学の経済学部を卒業した森章氏が就職先を選ぶ際、最も重視したのが森家の家訓だった。
 三男坊だった森章氏。1番うえの兄の敬氏は学者、2番目の稔氏が不動産業だったため、マネをしないというならサラリーマンしか残っていない。それならいっそ「サラリーマンの権化のような銀行マンになってやろう」と安田信託銀行(現みずほ信託銀行)への入行を決めたという。
 今回の超高級リゾートプロジュエクトも「人のマネをしない」という点ではこの就職先選びとよく似ていて森章氏らしい。今年の6月23日付で自身が創業した森トラストの社長の席を長女の伊達美和子氏(45)に譲り、会長に退くやいなや打ち出した構想だが、これほどまでスケールの大きいリゾート開発は、誰も手掛けたことはない。
 計画ではまず1500室のホテル、数棟のコテージを建て、26年までにはホテルを330室、コテージは40棟に増やすというが、例えばコテージなら1区画で8000平方メートルものプランを用意する。

■執事のいる超高級リゾート

 その敷地に建てるコテージは2階建てで延べ床面積1000平方メートル。通常、ファミリータイプの標準的なマンションが75平方メートル程度だから、その13倍以上もの大きさだ。コテージの一画には帯同させる料理人の部屋も用意する計画。海外の富豪のような「執事」のいる空間までできるわけだ。そんな高級リゾートで休日を過ごせる日本人はいったいどれくらいるだろうか、と疑問を呈したくもなるほどだ。
 もっとも、森章氏が今回の開発プロジェクトで想定しているのは海外から日本を訪れる富裕層だ。開発を予定している場所は新千歳空港からも近くすぐ脇を道央自動車道が通る。外国人から人気の医療ツーリズムの機能の持たせるため、腕の良い医師を置くクリニックも建設する計画だ。

 さて、今回は 森章氏と言えば、1970年代に日本で初めての法人会員制リゾートシステムである「ラフォーレ倶楽部」を創設したことでも知られる。今で言う、いわば企業の福利厚生代行サービスの原型といえ、企業が保有資産の見直しに着手する流れを読み、見事に成長軌道に乗せた。どうだろう。
 森章氏はかねて日本はインバウンド(訪日外国人)への対応が「まだまだ不十分」との持論を展開してきた。仮にインバウンドが2000万人になっても消費規模は4兆円弱で国内総生産(GDP)の約0.8%にすぎない計算になるからだ。「欧米に比べれば伸ばす余地は大きい」といい、確かに説得力はある。
 ただ、こうした森章氏らしい大仕掛けなリゾート開発は森トラストの社長というポストを伊達氏に移譲したからこそできる技とも言える。例えば開発用地も森章氏個人が全額出資する投資会社、MAプラットフォーム(東京・港)が取得しており、一義的には森トラストの経営とは一線を画す。

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最終更新:10/3(月) 7:00

NIKKEI STYLE

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