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なぜ教員はブラック部活をやめられないのか --- 中沢 良平

アゴラ 10/3(月) 16:20配信

ブラック部活(http://www.sankei.com/premium/news/161001/prm1610010025-n1.html)が話題になっています。そんなにつらいのに、先生方はなぜ部活動を止めることができないのでしょうか。原因を探ってみたいと思います。

生徒指導の一環だから

中学高校になると、小学校に比べ生徒指導(生活指導)の時間が短くなります。その分の穴埋めをどこでやるかというと、部活動です。生徒指導を部活動で補うので、部活をバリバリやっている先生に、そうでない先生は頭が上がりません。部活動を上手に切り盛りする先生は、ここで飴と鞭をじつに上手に使い分け、生徒をまっとうな人間に仕立て上げます。カリスマ性も抜群です。その凄まじさは生徒を自殺にも追いこんでしまう(http://mainichi.jp/articles/20160222/k00/00e/040/220000c)ほどです。学校の治安は、部活動をがんばる体育会系の先生方に支えられていると言ってもいいでしょう。

公立学校の教育は、学力の向上などそもそも目指してはいません。態度教育オリエンテッドです。そして、それが企業、とくに大きな企業との親和性がとても高いのです。無理な仕事でも上から言われれば徹夜してでもやり切る。空気を読んで経営陣の意向を忖度して不正な行為にも手を染めてしまう。理不尽な仕打ちを受けても辞めない。これは学校教育を10年以上受けていればこその“成果”ではないでしょうか。

このように部活動は、社会的にも必要とされていますし、率先して担っている発言力の大きい先生が、その影響力を手放すようなまねはしません。

高くなりすぎた給与の正当化ができないから

はっきり言って、公立学校の教員の給与は高いです。

ロバート・フェルドマン氏のわかりやすい言葉(http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/042700013/?P=1)を借りれば、

“日本には公務員が287万人いて、平均年収は884万円です。比較的高い教員などから低い消防士・警察官までさまざまです。一方、大企業の社員は701万人いて、平均年収は709万円です。では中堅企業はどうかというと、2760万人がいまして、平均年収は419万円です。では、公務員の生産性は、中堅企業の生産性に比べて2倍以上高いのかというと、それはあり得ないでしょう。”

ということです。ですから、おおっぴらに処遇を是正してとは言いづらいと思います。こんな高給で民間企業に先駆けて勤務時間の適正化(たとえば、部活動は地域のクラブ組織に丸投げするといったこと)が図られれば、納税者のみなさんは、文句のひとつも言いたくなるのではないでしょうか。

とはいうものの、教員をバッシングしたいのではありません。教員は肉体的にも精神的にもかなりハードな仕事です。きっちり8時間労働で、「休むのも仕事」というくらいの心構えで臨んでほしいものです。

ただし、です。部活動は、学校の表のカリキュラム(授業)以上に、社会から必要とされているということも事実です。また、給料の高い人は法律に守られている。そうじゃない人は安い。高い人は社会主義、安い人は資本主義。この順序を逆にしないことには、世間の同情も集まらないと思います。


中沢 良平(元小学校教諭)

中沢 良平

最終更新:10/3(月) 16:20

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